「暗黒時代に押しやった」豪ブレイキン選手の“0点パフォ”に同胞ダンサーが苦言「私たちのシーンが笑いものになった」
檜舞台で披露されたダンスパフォーマンスが国際的な波紋を広げ続けている。今夏にパリで行われた五輪で初採用となった「ブレイキン」に女子豪州代表として出場したレイチェル・ガン(ダンサー名:Raygun)のそれだ。 【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック! 新時代のスポーツとして期待された同競技には世界から熱視線が注がれていた。ゆえにガンのパフォーマンスは大きな論争を起こし、批判的な意見が噴出する事態となった。 帽子、ウエアが緑と黄色で「クロネコヤマト」の制服と似ていることから日本で話題になったガン。しかし、本人が「芸術的かつ創造的な動きがしたかった」として生み出した独創的すぎるダンスは、海外で嘲笑の的に。出場した全3試合で0点という結果も受けて母国内でも批判の声は高まり、代表選考の再分析を求める5万人が署名した請願書が政府に提出されもした。 採点をする上で「技術性」「多様性」「完成度」「独創性」「音楽性」の5要素を基準としているブレイキン。ゆえに創造性を重要視したガンの狙い自体は悪くはない。一方で明らかに技術を欠いたように見えるパフォーマンスへの批判は尽きない。 英公共放送『BBC』の取材に応じた豪ブレイキン界のレジェンドであるスパイス氏は「今回のことがオーストラリアのシーンを暗黒時代に押しやったような気がする」と指摘。「オーストラリアのブレイキンだったり、ヒップホップが笑いものになったようなものだよ。そのせいで私たちの多くが傷つくことになった」と自身の考えを明らかにした。 無論、誹謗中傷は言語道断である。スパイス氏も「個人攻撃は酷いとは思う。彼女の苦しみを広げるつもりはない」と明言する通りだ。しかし、彼女は「はっきり言って、初めてあのダンスを見た時は恥ずかしくなった」とも続けている。 「何と言っても舞台はオリンピックだったんだ。一定のレベルは必要だったように思う。ヒップホップには、ステップアップするか、引き下がるかという瞬間がある。彼女は間違いなく自分の立場を知る必要があったと思う」 大会後に自身のInstagramで「こんなに多くのヘイト(憎悪)への扉を開くことになるとは思わなかった。正直、かなり破滅的だった」と語ったガン。36歳で一大チャレンジをした彼女に対する賛否両論はしばらく続きそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]