【学生記者リポート】買い物サービス維持へあの手この手 富山の高齢者生活支える
移動販売は地域の憩いの場にもなっている。竹内清江さん(89)は、玄関先で近所の友達2人と世間話で盛り上がっていた。「欲しいものがなくても、友達に会いたいから顔を出さなきゃと思う」と笑う。 スタッフも利用者の顔や名前を覚えており、「元気にしてた?」などと近況を尋ね、親しくしている様子が多く見られた。 採算性の確保課題 買い物サービスは、高齢化でニーズが高まる一方、運営の課題は多い。県経営支援課によると、14年度から右肩上がりだった事業者数は20年度の44をピークに減少し始め、24年度は37まで減った。担当者は背景に燃料費の高騰や運転手不足を挙げ、「赤字経営が続いて事業をやめる人がいるなど、採算性の確保が課題となっている」と説明する。 運営費切り詰める そんな中、事業者はあの手この手で持続可能な運営方法を模索している。朝日町シルバー人材センターは近年の燃料費高騰を受け、年間の運営コストが19年度から23年度までに約2割上がった。対策として、24年度から利用手数料を購入金額の2%から4%に引き上げた。
事務局長の寺崎昭彦さんは「1人暮らしの人が多く、普段利用する人がいつもの時間に来なかったら、スタッフが様子を見に行く。高齢者の見守り機能もあり、何とか維持したい」と力を込める。 氷見市の上庄谷地域協議会は、中山間地域で暮らす住民の足となるNPOバスを1日5本運行している。買い物バスとしての役割も担い、地域のスーパーや病院などを回る。 同協議会の佐藤文敬さん(46)は、燃料費の高騰に加え、運転手の確保が課題だと言い「本数を増やして利便性を上げたいが、お金が確保できないため難しい」と明かす。運営費のうち6割は補助金、4割は同協議会が負担している。賃金はアルバイトほどの金額だとし「いろんなものを切り詰めてなるべくお金をかけない方法で運営している。これから先どこまでできるのか難しい」と漏らす。 住民の負担を増やさないため、年会費2千円の引き上げは考えておらず、補助金の割合を増やしてもらえるよう自治体などに働きかけているという。