バドミントン男子ダブルスで日本勢初のメダル獲得を狙う保木

　バドミントン男子ダブルスに出場している山口県柳井市出身の保木卓朗（トナミ運輸）は、両親への感謝を胸にコートに立つ。練習のサポートや親元を離れた寮生活で、数々の苦労と心配をかけてきた。「パリに連れてこられて少しは恩返しできたかな」とラケットを握る。 【写真複数】住民たちに見送られる保木選手（中央）など 　競技を始めた山口・日積小時、父洋一さん（60）が自宅の庭に物干し竿とロープで作ったコートで毎日汗を流した。「やれることはやった方がいい」と洋一さん。光市や下松市などであった所属クラブの練習は、仕事終わりの母孝子さん（58）が運転する車で通った。 　「強くなりたい」と進学した福島・富岡第一中での寮生活でも、親はそばにいた。電話に加え、日本一と桃太郎のイラスト入り便箋が定期的に届いた。孝子さんは「寮に行くとその手紙がベッドの枕元に積んであった」と懐かしむ。 　中学の卒業式があった2011年3月11日に東日本大震災を経験。進学した福島・富岡高では部活動が再開できても、親元から戻ってこない仲間がいたが、自身は強豪校で腕を磨く道を選んだ。保木は「不安だったと思うけど送り出してくれた」と決断を尊重してくれた両親に感謝する。 　初舞台の五輪では29日（日本時間30日）、米国ペアを破り1次リーグ初勝利を挙げた。「思い切ってプレーするのが一番いいのかなと思い、それができた」。客席で見守る両親へ、普段言えない感謝をプレーで伝える。