【ライブレポート】JJJが日比谷野音で迎えたツアーファイナル、支えてくれた仲間たちに伝えた感謝
ラッパー / ビートメイカーのJJJがライブツアー「Nov Tour」のツアーファイナルを11月30日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で開催した。 【写真】満員の野音のステージに立つJJJ 精神的な不調を乗り越えて、昨年リリースした6年ぶりのアルバム「MAKTUB」が各方面から絶賛を集める中、精力的なライブ活動を続けてきたJJJ。7月に行った「July Tour」に続く今回の「Nov Tour」では福岡、台湾、宮城を回り、過去最大規模の会場となる野音をツアーファイナルの舞台に選んだ。JJJが主催公演を野音で行うのはこれが初であり、客演は事前にアナウンスされていなかったものの、チケットは即完。勢いを増すJJJにとって、もはや野音ですら大きすぎる会場ではなくなっていた。 11月の終わり、気温13℃の野音。オープニングDJのKazuhiko Fujitaがメロウな音楽で来場者を出迎える。厚着したファンで会場がにぎわう中、開演時刻の16:45を迎えると、すぐにライブが始まるが、そこに現れたのはJJJではなく、車椅子に乗ったOMSBだった。観客がどよめく中、自身の代表曲「黒帯」を披露したOMSBは「最近足やっちゃって」と説明。そのまま椅子に座りつつも「大丈夫、俺調子いいから」という言葉通りにエネルギッシュなラップを繰り出し、ラスト曲では立ち上がって会場を沸かせた。 OMSBに代わってはCampanellaが現れ、コラボ曲「Puedo」でKID FRESINOもステージへ。Campanellaが「佐々木、誕生日おめでとう」と11月25日に誕生日を迎えたKID FRESINOに声をかけ、「あざっす!」とKID FRESINOが答える微笑ましい場面もあった。その後、神奈川・横須賀のクルーYokosquadに所属するCFN Malikもショットライブを披露。野音のステージに堂々と1人で立ち、フレッシュな才能を示した。 主役のJJJはなかなか現れないが、今回はJJJのワンマンライブというよりも、JJJ主催のパーティといった構成のようだ。CFN Malikに続いては「I told you 響くbeats K to the M」というJJJの声を使ったプロデューサータグで知られるプロデューサー / DJのKMが登場。40分のDJパフォーマンスを繰り広げたKMは、「この曲が天国にいる彼に届くとうれしい」という言葉から、JJJ の盟友・Febbが逝去する直前に発表した楽曲「2 HOT」のリミックスを野音に響かせた。 開演から90分ほど過ぎた頃、バックDJのAru-2に続いて、ようやくJJJがファンの前に姿を見せる。ステージが赤く染まる中、彼が1曲目に披露したのは未発表の新曲だ。怪しいドリルビートに乗せて気迫みなぎるラップを観客に叩き付けたJJJは「Synthese Freestyle」を皮切りにアルバム「MAKTUB」の楽曲を連発。シーンきってのライブ巧者である彼は、会場の熱気を取り込みつつ、緩急を付けたラップで観客の心を震わせる。コントラバス奏者の岩見継吾、尺八奏者の瀧北榮山、箏奏者の岡村秀太郎の演奏により楽曲の世界観は厚みを増し、「Mihara」ではプロジェクションマッピングにより三原山の風景がステージに映し出された。 「自分が辛いときに支えてくれたCampanellaとかOMSBにライブしてほしくて。Malikもそうだけど、最終日に自分の大好きな友達と一緒にできてうれしいです」と思いを語ったJJJ。ライブ中盤にはDaichi Yamamoto、MFS、ISSUGIといった信頼する仲間たちを迎えて息の合ったコンビネーションを見せていく。仙人掌との「Darlin'」、C.O.S.A.との「U」というラブソング2曲に続けては、OMSBとSTUTSを迎えて「心」を披露。「Bro」でもJJJとコラボしたOMSBは車椅子に頼らず、力強くステージを闊歩し、JJJはこの日、別の会場でワンマンライブを行っていたもう1人の友達・VaVaに向けてシャウトを送った。また「STRAND」ではJJJのミスをKEIJUがすぐにカバーする連携プレイを見せ、これを受けてJJJも「大丈夫! 俺の気合い見とけ! 日比谷! そしてKEIJU! Let's Go!」とアドリブで叫んで会場を一層盛り上げた。 さらに今回のツアー全公演に参加したCampanellaとの「Something」、Febb、KID FRESINOとの「2024」も披露され、ライブは佳境へ。寒空の下、JJJはFebbのビートに思いを乗せた「Beautiful Mind」、今年初めにリリースされ、すでに代表曲の1つとなった「Kids Return」、愛する人への感謝を込めた「Oneluv」を畳みかけていく。そしてJJJは「聴いてくれている人いつもありがとうございます。自分がここに立てるなんて思ってなかった。昔のこととか思い出すといろいろきます」と感慨を語ると、STUTSとの「Changes」へ。この曲でライブを締めくくった彼は、雪景色の映像とともに未発表の新曲が流れる中、クロージングDJを務めるKID FRESINOにステージを任せて去っていった。 なお今回のライブでJJJが披露した新曲2曲の詳細は不明。この2曲のリリースを含め、来年の活動への期待が高まる。 ■ JJJ「Nov Tour」2024年11月30日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)セットリスト 01. 新曲 02. Synthese Freestyle 03. Mihara 04. July 05. Find a way feat. Daichi Yamamoto 06. Drink feat. MFS 07. Me & My Musik feat. ISSUGI 08. Darlin' feat. 仙人掌 09. U feat. C.O.S.A. 10. 心 feat. OMSB, STUTS 11. Bro feat. OMSB 12. STRAND feat. KEIJU 13. Maktub 14. Something feat. Campanella 15. Eye Splice 16. 2024 feat. Fla$hBackS 17. Beautiful Mind 18. Kids Return 19. Oneluv 20. Changes feat. STUTS Photo by Daiki Miura / A.Masanobu