「食品業」倒産 2年連続増加の653件 原材料やエネルギー価格、人件費上昇が負担
2023年度「食品業」の倒産
歴史的な円安が続くなか、歯止めが掛からない食材の価格上昇、人件費などのコストアップが食品業界の経営を圧迫している。2023年度(4-3月)の「食品業」の倒産(負債1,000万円以上)は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。 「新型コロナ」関連倒産は288件(同7.4%増)、「物価高」関連倒産は前年度(71件)の1.4倍増の102件(同43.6%増)、発生した。コロナ禍からの業績回復の遅れに加え、価格転嫁が進まず、経営に行き詰まる食品業の苦境を浮き彫りにしている。 業態別では、製造業176件(前年度比12.1%増)、卸売業241件(同10.5%増)、小売業236件(同26.8%増)と、全業態で増加した。なかでも、小売業は消費者の消費控えと価格転嫁が容易ではなく倒産の増加率が最も高かった。 資本金別で1千万円未満が418件(構成比64.0%)、負債額別は1億円未満が417件(同63.8%)と、小・零細規模が倒産を押し上げた。形態別は、破産が569件(同87.1%)と9割近くを占めた。 「食品業」倒産は、コロナ禍の資金繰り支援策で2021年度は441件に減少した。だが、その後は売上回復が鈍いなかで、ロシアのウクライナ侵攻や円安などで食材や光熱費等のコストアップが顕著となり、倒産は増加に転じた。「食品業」は、飲食業界や個人消費者の動向に左右されやすく、ナショナルブランド以外の価格転嫁は難しく、当面、厳しい状況が続くとみられる。 ※本調査は、日本産業分類の「09食料品製造業」「10飲料・たばこ・飼料製造業」「52飲食料品卸売業」「58飲食料品小売業」の2023年度(2023年4月-2024年3月)の倒産を集計、分析した。
倒産は653件で、4年ぶりに600件超に
2023年度(4-3月)の「食品業」倒産は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。件数が600件を超えたのは、2019年度(779件)以来、4年ぶり。 業態別では、製造業176件(前年度比12.1%増)、卸売業241件(同10.5%増)、小売業236件(同26.8%増)と、全業態で増加した。 「新型コロナウイルス」関連倒産は288件(同7.4%増)で、製造業87件(同2.3%増)、卸売業114件(同10.6%増)、小売業87件(同8.7%増)だった。 「物価高」関連倒産は102件(同43.6%増)で、製造業55件(同52.7%増)、卸売業19件(同18.7%増)、小売業28件(同47.3%増)と製造業の増加率が目立った。