『本場の味』シェフはタイ・台湾・インドネシア出身の女性ら 日本での生きづらさ...母国料理で自信を持てるように 「今は毎日が楽しい。みんな支えてくれるから」
およそ20年間、社会から孤立した生活を送っていた游さんが変わるきっかけとなった存在が、奥 尚子さん(34歳)です。 2人が出会ったのは、外国人向けの生活相談会。奥さんは当時、外国人支援について学ぶ大学生でした。 【奥 尚子さん】「出会った時は困りごとを聞いて、自分に何かできることないかなと。電車に乗るのが怖いとか、旦那さんとしか関係がなくて、友達もいないので、困った時に相談する人がいないとか」 生活に苦労する游さんたちと何度か会ううちに、奥さんは外国出身の女性ならではの“ある強み”を見つけました。 【奥 尚子さん】「だんだん仲良くなっていくと、お弁当を作ってくれるようになって、その国のお弁当でおいしくて、お母さんたちは普通に作っているけど、私にとっては食べたことないものだったので、“これ(料理)を使って自信をつけられることをできないかな”と」 異国の地で、言語や文化の壁に悩んでいた外国出身の女性たち。彼女たちの力が発揮できる母国料理で、自信をつけてもらいたい…。 そんな思いで、奥さんは8年前、アジア料理店「SALA」を開きました。 大切にしていることは、外国出身の女性たちの思い出の味を貫くこと。あえて日本人好みには寄せません。
調理場には各国の調味料がずらりと並びます。 【奥 尚子さん】「インドネシア、台湾…。ナンプラーはアジア系の共通のもので、フィリピンの酢とか醤油とか…、醤油だけで6本あって、お酢で3本とかですね。醤油でも全然味が違って、その国の懐かしさとか料理を感じる部分はそこ(調味料)がポイントなのかなと」 今はアジアだけでなく、モルドバを含む4カ国出身の女性たちが日替わりでシェフを務めています。台湾出身の游さんも、その一人です。 【台湾出身 游さん】「お母さんが(料理を)やっている時にいつも見ていたから」 【奥 尚子さん】「すごいよね、それ」 【台湾出身 游さん】「お母さん、焼きビーフン得意やねん」 Q.日本に来て初めての仕事がSALA? 【台湾出身 游さん】「うん。前は主婦で家の中ばっかり。大体20年こもっていた。尚子さんと知り合ってから表に出て、今は電車乗れるし、言葉も上手になった」 游さんにとって、SALAは同じ境遇の女性や日本人との交流の場。働くようになって、次第に前向きになっていきました。