【速報】“ジョッキでビール8杯” その後もハシゴ酒…飲酒運転の男に懲役12年の実刑判決 全盲の息子に付き添っていた母親 忘年会帰りの車にはねられ死亡 男は裁判で“新しく買った車見せたかった” 自らも重傷の息子は涙こらえ「求刑通りの刑が出たよと報告したい」
遺族が意見陳述で憤り「幸せな家族の日常がめちゃくちゃにされてしまいました」
遺族の意見陳述によれば、亡くなった大久保春江さん(当時82)は、全盲の孝之さん(51)を支え続けた存在でした。点字を習得したり、孝之さんが営む整骨院の経理業務を行うために、パソコンの操作を習ったりもしていたといいます。 (9月19日の意見陳述) 遺族 「被告は約9時間も飲酒し、ハンドルを握った。なぜその行為が危険だと認識しなかったのでしょうか」 「幸せな家族の日常がめちゃくちゃにされてしまいました」
検察側の求刑は懲役12年
検察官は9月19日の論告で、「8時間半にわたり飲酒し、およそ正常な運転ができない状態で車を運転。ブレーキを踏むことなく被害者らに衝突した。被害者らにまったく落ち度はない」「当日は仕事も用事もなく、帰宅を急ぐ必要はなかった。駐車場も被告人の当時の自宅も駅から近く、電車で帰宅することもできた。飲酒運転を思いとどまるべき事情がいくつもあったのに、それでも飲酒運転をした」と糾弾。懲役12年を求刑していました。 一方で弁護人は、「最初から飲酒運転をするつもりで忘年会に行ったのではない。少なくとも行く前には、帰宅時に代行を呼ぼうとしていた。この点は他の飲酒運転事件と決定的に異なる」として、情状酌量を求めていました。
求刑通り懲役12年の判決
大阪地裁堺支部(武田正裁判長)は9月24日の判決で、危険運転致死傷罪の成立を認定。そのうえで、「自宅を出た時から飲酒運転する意図があったとは認められないが、安易に自動車で酒席に赴いた上、帰宅に際し、代行運転の依頼や他の交通手段の利用も容易だったのに車を運転した。同情の余地はない」「被告なりの反省の言葉は述べているが、反省はいまだ不十分と言わざるをえない」として、検察官の求刑通り、岩井拓弥被告に懲役12年の実刑を言い渡しました。 判決言い渡しの間、岩井被告はまっすぐ裁判長を見つめていました。
判決を受け全盲の息子 涙こらえ…「なるべく“事故前の自分”を取り戻していきたい。そうすることで母親も安心してくれるだろうと思う」
判決公判では、事故で外傷性くも膜下出血などの重傷を負った被害者で、全盲の大久保孝之さん(51)も傍聴。公判後に、時に涙をこらえながら取材に応じました。 母親の春江さんを亡くし、自らも重傷負った大久保孝之さん(51) 「(裁判所が判決で)最大限の懲役12年を出してくれたことに対しては、非常に私は納得していますし、感謝しています」 「事故の時に僕と一緒にいた母親に伝えたいと思います。求刑通りの刑が出たよと報告したいと思います」 「過去には帰ることはできませんので、僕の将来を母親は(天国から)気にしてくれていますので、なるべく“事故前の自分”を取り戻すということをしていきたい。そうすることで母親も安心してくれるだろうと思います」 (MBS大阪司法担当 松本陸)