【長崎】潜龍酒造で新酒「本陣白星」初搾り 改修工事控え昔ながらの製法は今回が最後
NCC長崎文化放送
「伝統的酒造り」は県内各地で行われています。 【写真】潜龍酒造で新酒「本陣白星」初搾り 改修工事控え昔ながらの製法は今回が最後
27日は300年以上続く酒蔵で、新米を使ったにごり酒の初搾りが行われました。改修工事を控え、伝統の製法は今年が最後。特別な思いが込められています。 江戸時代、元禄元年の1688年創業。336年の歴史を紡ぐ佐世保市江迎町の酒蔵「潜龍酒造」。 午前10時から今シーズンの初搾りが始まりました。酒の元となる「もろみ」を布の袋に詰め、「ふね」と呼ばれる搾り機に寝かせるように積み重ねていきます。もろみの重さと機械の圧力で丸2日かけてじっくりと搾り出す「槽搾り」という伝統の技法です。 こちらの淡い乳白色の新酒が「本陣白星」です。熱による殺菌処理はしていません。米の粒子や酵母がそのまま残る「にごり生酒」で、微炭酸でとろみのある口当たりが特長です。瓶の中で発酵が進むため、始めは甘口ですが、1カ月ほどで味が辛口に変化します。今年は10月以降も気温が高くもろみの温度管理が難しかったものの、氷や湧き水で冷やし、香りと甘みが引き立つ仕上がりとなりました。 そして、今年の初搾りには特別な意味があります。作業が行われたのは、1800年ごろに建てられ、去年10月に県の有形文化財に指定された「山下家貯蔵蔵」。 来年1月から建物の保全のための改修工事の実施が決まり、それに伴い、約70年使われていた「槽搾り機」が解体されることになりました。新たに導入される「薮田搾り機」により製法は機械化され、効率的になりますが、創業当時から受け継がれてきた「槽搾り」で作る「本陣白星」は、今回が最後となります。 潜龍酒造13代目・山下庄左衛門社長(65): 「ちょっと寂しい気がします。ただ時代とともに合ったものを作らないといけない。この古い建物を利用して江迎から長崎そして九州。日本に我々の酒が発信できれば」 にごり生酒「本陣白星」は、例年より1500本少ない7600本限定で、28日から潜龍酒造のオンラインショップや県内の酒店・デパートなどで販売されます。(900ml:税込み1450円 1800ml:税込み2638円)
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