長期的にマネーはどこからどこに向かうのか。オルカンもいいけど、また違った国際分散投資の面白さ
※筆者作成
世界情勢の変化、マネーの向かう方向が投資先を決める要素になる
世界情勢を踏まえて考えたいのが、「今後、長期的にマネーはどこからどこに向かうのか」ということです。まず、アメリカの側に立って考えてみます。 アメリカにはヨーロッパ、中東、東アジアに軍事力を展開・維持する三正面作戦が難しいという問題があります。この問題を解決するために、ヨーロッパではNATO加盟国のドイツやイギリスに、東アジアでは日本に軍事・防衛の一端を担わせようとしています。私たち日本人にとって記憶に新しいのは、2023年度から5年間の防衛費増額でしょう。 このように、アメリカがイギリスやEU諸国、日本などの関係各国に軍事的な協力を求める場合、経済的な裏付けが必要になります。つまり、経済成長によって、それらの国々を富ませる代わりに、軍事・防衛の予算をある程度は自前で用意してもらうということです。 一方、ロシアや中国の側に立って考えてみると、また違った景色が見えてくるかもしれません。ロシアは、東ヨーロッパにおける緩衝地帯を確保したいわけなので、原油や天然ガスなどの天然資源外交を通じ、どこまでウクライナとの戦争を継続できるかが大きな課題となっています。天然資源を売り、その見返りとして軍事支援を得る必要があるため、中国への依存度を高めているようです。 また、2023年にはサウジアラビア産の原油をロシア経由でインドに輸出しており、サウジアラビアやインドなどの第三国との関係を良好なものにしたい思惑が働いているのかもしれません。 中国は、現代版シルクロードと呼ばれる一帯一路政策の下、世界に対する経済的覇権を握ろうとしていますが、中国とヨーロッパの間に大国のインドがあります。インドとは歴史的にカシミール地方における国境争いを抱えていますが、経済的な結び付きを強めることは自国の利益につながります。 また、台湾をめぐる問題についてはアメリカに対抗し、東南アジアの国々への影響力を高めるために経済支援を長年にわたって費やしてきました。 このように、ロシアや中国としては、特に新興国や発展途上国との経済的関係を積極的に構築することで、アメリカへの対抗手段としています。 投資は本質的には、世界中のお金がどのように循環するかを考えるゲームともいえます。アメリカは、関係国の軍事・防衛能力の強化を図りたいという思惑があり、それらの国々の経済成長を手助けする可能性があると考えた場合、ヨーロッパでは特にドイツやイギリス、東アジアでは日本や台湾の経済が向上するように動くでしょう。 一方、アメリカを中心とした国々が現在実施している、ロシアや中国に対する経済制裁が今後も続くと考えるなら、ロシアや中国から成長する可能性が高い国・地域へと多くの資金が向かうようになるかもしれません。 その受け皿が、いわゆる第三国であるインドやブラジル、南アフリカ、サウジアラビアなどの新興国である場合、それらの国々にマネーが向かうと考えるのは不思議なことではないでしょう。