紫の上を成仏させた? 晴れ晴れと海岸を走り抜ける…自由をつかんだまひろの心境を想像する【光る君へ】
「刀伊の入寇」にまひろ!? とんでもフィクションにも納得
紫式部は『源氏物語』完成後、まもなく逝去したという説が根強い。父・為時の出家が、娘である式部が亡くなったからではないかという、もっともな理由があるためだ。しかし『光る君へ』のまひろは、物語を書き終わったあともまだまだ生きつづけて、次の時代の変化の兆しを目撃すると、制作統括の内田ゆき氏は語っていた。それは若武者・双寿丸(伊藤健太郎)との出会いのことだったのかな? と思いきや、なんと次回予告から察するに「刀伊の入寇」にまひろをガッツリ巻き込むようだ! 多分これ「賢子の父親は道長」に次ぐ、とんでもフィクションだろう。しかし『光る君へ』はここまでの第45回のなかで「まひろの行動力と無鉄砲さ」「夫が大宰府にいた」「親友が松浦(現在の長崎県松浦市辺り)にいた」「道長を通じて、現在大宰府にいる藤原隆家(竜星涼)とつながりやすい」などのキーアーテムをポンポンと並べていくことで、見事に「まひろが刀伊の入寇中に大宰府にいる」という世界線を「まあ、ありだよな」に持っていくことに成功した。 さらに大宰府では、越前編(第22回~25回)で国際ロマンス詐欺未遂を起こした、日本生まれ宋国育ちの薬師・周明との運命の再会が! 目と目があった瞬間にスローモーションになるという、久々の少女漫画的な描写に、SNSも「うわーー!! 国際ロマンス詐欺野郎じゃないか!!!」「【速報】周明に妻はいない」「ここで周明に会うのは危険すぎる」「このドラマ、もしかして、道長くん当て馬で周明が全部持っていきますか???」と、完全にお祭り状態になった。 さて来月は、平安時代ガチ勢がめちゃくちゃ期待していた「刀伊の入寇」が詳細に描かれる模様。平安貴族の世界が舞台になると聞いて「戦がない大河なんてつまらない」とか言い放った一部の人たちに向けて、関係者が一丸となって「この時代の本物の戦を見せてやるよ!!!!!」という気概で作ったはずの(妄想)、武士の時代黎明期の戦ぶりをとことん拝見しよう。そしておそらく次回と次々回で、藤原隆家の株がストップ高になると予告しておこう。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。12月1日放送の第46回「刀伊の入寇」では、大宰府を訪れたまひろが周明や双寿丸と再会するも、異国の海賊たちが九州に攻め込んだ戦「刀伊の入寇」に遭遇するところが描かれる。 文/吉永美和子