過去2回は「異変 」今回は「無難」 安倍首相のコロナ会見、どう開かれているの?
会見に参加するには
首相会見の場には、誰でも取材者として入れるわけではありません。従来は、記者クラブに加盟する新聞社、テレビ局、主要な海外メディアなどに限られていました。 節目となったのは民主党政権時代に、会見を会社に属さないフリーの取材者やネットメディアの記者らに開放したことです。官邸報道室の担当者によると、取材希望者は申請を出す必要があり、(1)政治取材をしてきたか(2)署名記事はあるか――などの実績を基に、参加の可否が判断されるそうです。
フリー、ネットメディアの存在感は?
フリー記者やネットメディアに会見取材が開放されたことはどのような意味を持つのでしょうか。 「江川さんの件を見て、『目が覚めた』というのが率直な感想です」。前述の女性記者は語ります。この記者は、「記者クラブに所属していると、記者会見の場(表の取材)だけでなく、非公開の場での取材(裏の取材)もできます。そのため、表で強く叫んで悪目立ちするよりも、裏でこっそり聞いた方が良い、という感覚になってしまうのです。恥ずかしい話ですけどね」と吐露します。 ある政府関係者も「いわゆる番記者(特定の大臣や有力人物に張り付く記者)だと人間関係を壊したくないから聞きたくても聞けないことが出てきてしまう。そういう意味では、手厳しい質問をフリーやネットメディアの人が聞いてくれると番記者は助かるみたいです」と語り、クラブ所属以外の取材者が参加することで質疑応答が活気づくと言います。 前述の男性記者は、「すでに決着がついている話や、記者クラブメディアは知っていることを質問されると、『なんだよ』と思うこともあります。しかし、記者クラブメディアは首相をはじめとする取材対象者と友好関係を築きたいという思いが先行します。出張先でも夜には乾杯し、官房長官の誕生日にはみんなでプレゼントをあげることもあります。取材対象者と距離が取れなくなると、質問も『なあなあ』になります。そういう意味で、新鮮な空気が入ってきたという感覚はあります」と話しました。