「こんな現場は異質です」有野課長が語る『ゲームセンターCX』が唯一無二である理由
――学生の頃に戻れる感じは今もある? 有野 ありますね。僕は下手やったから、人がやってんのを応援する係でしたけど。下手くそ!って言われんのがイヤで。プレイは上手いやつに任せて、自分は観ている側でした。でも、この番組やっていて思いますけど、プレイが下手な人のほうが観ている側は盛り上がるみたい。 ――応援する側も熱が入りますしね。 有野 でも、僕は上手くなりたいんです。「このラスト1機で決められたらカッコええよな」とか思ってやるんですけど。 ――あ、そういうことは思っている。 有野 思ってるわ!でも、出来ひん。最後きれいに終われたのって、この20年で5回もないんちゃうかな。ただ不思議なことに、「クリアできませんでした」っていう回のほうが記憶に残ったりするんですよね。20周年のイベントでも失敗して。いやあ、1万5000人の怒号はひどいもんでした(笑)。 ――今回のイベントは、10周年の武道館での有野さんの発言(「今度(イベントが)あったらスーパーさいたまアリーナでやります!」)が10年越しに実現したものでした。ただ、今回はさすがに、「次は東京ドームだ!」とは言わないでくれと事前に注意されたそうですね。 有野 「フリじゃないですからね!」って言われて。「あ、ほんまのやつね」って(笑)。 ――その代わり、「次は全国ツアーだ!」とおっしゃって。 有野 以前、20周年博覧会を全国5カ所でやってて、各地のお客さんが、「たまアリ行きます」って言ってたから、今度はこっちから行きたい!って言っちゃった。盛り上がったなー。終わってすぐ、「無理です」ってスタッフに怒られたけど(笑)。 ――コロナ禍が収まったので、今後は再び海外ロケもあるかなと思っているんですが。 有野 行きたいですね。 ――有野さんが行ってみたいところは? 有野 僕、ずっとオーストラリアに行きたいって言ってるんです。見たことないゲームがありそうやから。でも、プロデューサーは、「勝手に行ってください」って(笑)。僕が行ってみたいところは却下される。20年経っても思い通りにならない番組です(笑)。 ■初期はインタビュー番組だった ――20年を振り返った話もお聞きしたいのですが、『ゲームセンターCX』って、もともとは「挑戦」がメインの番組ではなかったですよね。 有野 ゲームを作るクリエイターのインタビューがメインの番組でした。 ――でも、それが次第に「挑戦」だけの番組になっていきました。その変化を有野さんはどう感じていたんでしょう? 有野 当時のCSが1シーズン10回ごとの放送やったから、「次のシーズンどうする?」ってなったときに、「とりあえず『挑戦』だけでやってみましょう」となって。次のシーズンにはインタビュー番組に戻るんだろうって。気づけば27シーズンまで来ました。 実際、2シーズン目の途中で、プロデューサーから、「どうします?」って聞かれたんですよ。挑戦できるタイトルを10回分確保していなくて、このままやるなら収録しながら探すけどって。でも、それまでが楽しかったから、僕も「やっちゃいましょう」と言うて。 ただ、DVDが出たときは、「挑戦企画一本でいけんねや」とは思いました。「面白い番組ですよね」って話しかけてくれる人も、「挑戦」のことばかり言うし。ニーズがあるなら番組は合わせたほうがいいですからね。クリエイターインタビューより反響があった。