『地面師たち』豊川悦司、悪の魅力を放つスーツスタイルの秘密
連載《ニュースなルック》
「ネットフリックス」で配信されるな否や、各方面で「もう見た?」と話題になり、「面白い!」と絶賛されている話題のドラマ「地面師たち」。脚本・監督は「モテキ」を撮った大根仁氏。面白くないわけがない。筆者も全7話イッキ見してまった。 【写真はこちら】どうしてこんなに「怖い」のか。豊川悦司のスーツ姿をもっと見る。共演者の装いもチェック!
「地面師」とは、他人の土地の所有者になりすまして売却を持ち掛け、偽造書類を使って多額の金を騙しとる不動産詐欺集団のこと。 地面師をまとめるリーダーに豊川悦司氏、交渉役に綾野剛氏、同じく交渉と仲介役はピエール瀧氏、情報屋は北村一輝氏、手配担当は小池栄子さん、地面師を追う刑事にリリー・フランキー氏、だまされる大手不動産の社員に山本耕史氏などなど、濃ゆいキャスティングもドラマの見どころである。 とりわけ筆者がファッション的にも注目したのが、豊川悦司氏が演じる、濃ゆい悪党キャラばかりの地面師をまとめているリーダーのハリソン山中だ。 名前からしてうさん臭いではないか。100億円規模の詐欺も成功させる地面師のリーダーながら、ハリソン山中が最終的に求めているのはお金ではない。 それは詐欺を成功させるまでのプロセスやスリルを楽しみ、詐欺が成功した後には、仕事に関わった者たちを躊躇(ちゅうちょ)なく殺してしまい、死ぬ瞬間をビデオカメラで録画して、その模様をアジトの「ハリソンルーム」で高価なビンテージウイスキーを嗜みながら観覧してエクスタシーを得ること。
■高級スーツと金縁サングラス、尋常ではない怖さ演出
ハリソン山中は、尋常ではない怖さのサイコパスな変態キャラなのである。ネット上ではハリソン山中を演じる豊川悦司氏を見て、「トヨエツ怖い」という文字があふれかえったほどだ。 豊川悦司氏はサイコパスな変態キャラのハリソン山中を演じるにあたり、衣装や小道具などファッションにもかなりこだわったそうだ。 例えば、ジェントルマンなハリソン山中はいつもスーツスタイルである。ひと目で高級と分かるおそらくテーラーメイドと思われるピークドラペル(先がとがった下襟)のスリーピーススーツは、お洒落(しゃれ)なイタリア人が好んで着ている「ソラーロ」という玉虫色の高級な生地で仕立てている。ハリソン山中は、テラテラとして妖しくて艶っぽいパープル系やエンジ系のソラーロのスリーピースを、スーツと同系色であるイタリアンカラーのシャツの胸元のボタンを開けてノータイでラフに着こなしている。 そして常にかけているサングラスは、うっすらと色付きの金縁のスクエアタイプ。ノータイでソラーロの玉虫色スーツに色付きの金縁サングラスが、ハリソン山中のサイコパスな変態キャラをより一層演出している。