パート勤務で「年収120万円」の妻が、10月から“社会保険”に加入。手取りが「月1万5000円」減るそうですが、収入を減らすほうがお得ですか? 長生きすれば元は取れるのでしょうか?
社会保険料に加入するといくら年金が増える?
厚生労働省によると、年収120万円の人が厚生年金に1年間加入することで、65歳以降にもらえる年金額が年6000円増えると試算されています。社会保険料率を15%とすると、年収120万円の人の社会保険料負担は年間18万円です。 つまり65歳から94歳まで30年間年金をもらい続ければ、年金だけで負担した社会保険料の元が取れることになります。 なお、令和5年簡易生命表によると、40歳女性の平均余命は47.85年、つまり平均すると87.85歳までしか生きられないということです。年金だけで元を取るためには平均より約7年長生きする必要があるのです。
社会保険に入ることのメリットは?
社会保険に入るメリットは、年金が増えることだけではありません。以下の手当を受け取れることも大きなメリットです。 ・傷病手当(業務外の病気やけがで仕事を休んだ場合、給与の3分の2の金額を4日目から最大1年6ヶ月間受け取れる) ・出産手当(出産のため会社を休んだ場合、給与の3分の2の金額を出産の日以前42日から出産の日後56日までの期間受け取れる) これらは病気・けががある人、出産する人が受け取れるものであって、年金のように誰もが確実に受け取れるものではありません。しかし、もし実際に受給することになった場合は、「社会保険に加入して良かった」となるのではないでしょうか。 また、社会保険に入れば、「賃金の調整を考えずに働ける」というメリットもあります。「月に○時間しか働けない……」と選択肢を狭めるよりは、会社の状況や個人・家族の状況に応じて給与を増やせる余地を残しておいたほうが、結果的に得となるかもしれません。
社会保険料加入で手取りが減るが、悪いことばかりではない
社会保険に加入することで、例えば、社会保険料率15%で年収120万円の人は、年間18万円手取りが減ってしまいます。年金の増額だけで元を取ろうとすると、95歳まで生きる必要があり、平均余命を考えると損してしまう可能性のほうが高いのです。 しかし、傷病手当や出産手当、月収を気にせず働けるメリットは決して小さくありません。手取りが減るデメリットとのバランスを考えながら、社会保険に加入するか、月収を減らすか考えると良いでしょう。 出典 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について 執筆者:浜崎遥翔 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部