クレームが殺到した名作ドラマは? ドラマ史に残る問題作(4)放送コードギリギリで高視聴率…伝説の昼ドラは?
クレームは、厄介者扱いされるのが常である。しかし「クレーム」が「要求(claim)」を語源としていることを考えると、世相を反映する世間の声とみなすこともできる。今回は、放送当時、視聴者からクレームが殺到したものの、再評価の機運が高まっている作品を5本紹介する。第4回。(文・編集部)
『幸せの時間』(2012、フジテレビ系)
脚本:いずみ玲 出演:田中美奈子、西村和彦、神楽坂恵、上遠野太洸、伊藤梨沙子、柳沢慎吾 ●【作品内容】 浅倉智子(田中美奈子)は夫・達彦(西村和彦)との念願のマイホームを手に入れ、幸せの絶頂にいた。しかし、ある日、高村燿子(神楽坂恵)を轢いた交通事故をきっかけに、達彦の浮気や横領、長男・良介の高校中退などが芋づる式に発覚し、家族崩壊の坂道を転がり落ちていく。 ●【注目ポイント】 ドロドロの愛憎劇から心暖まるハートフルコメディまで、さまざまなドラマを世に送り出してきた昼ドラ枠。中でも、13時30分放送の東海テレビ制作の昼ドラは、家事がひと段落した主婦たちのオアシスであり、『愛の嵐』(1986)や『真珠夫人』(2002)、『牡丹と薔薇』(2004)などの人気作品を数多く世に送り出してきた。 しかし、何事も過激であればいいというものではない。そのいい例が、2012年に放送された『幸せの時間』だろう。原作は、国友やすゆきによる同名漫画。主演を昼ドラ常連の田中美奈子と西村和彦が務めている。 ストーリーは、西村演じるエリート社員が、とある事故をきっかけに、不倫の泥沼へと引き摺り込まれていくという、メロドラマとしてはありがちなもの。では、なにが本作を「伝説」たらしめたのかというと、毎回のように登場する怒涛の濡れ場だ。 毎話、開始わずか10分で、放送コードギリギリの性描写が連発。番組の公式X(旧:Twitter)でも、「開始わずか1分で、その名の通りエロス全開です」「今日も野獣のように挑みかかります。野獣なので複数に」と、視聴者の欲望を煽りに煽っていた。 しかし、お茶の間の意見は真っ二つに分かれた。放送倫理・番組向上機構(BPO)には、「子どもが見たらどうするのか」と苦情が殺到。それもあってか、性描写は徐々に穏やかになっていった。 とはいえ本作、初回視聴率は、昼ドラ異例の9.6%を記録。その後も、10%という高視聴率を維持し、有終の美を飾った。 (文・編集部)