ウォール街の25年利下げ予想後退-トランプ氏勝利やFRB議長発言で
(ブルームバーグ): ウォール街のエコノミストやストラテジストは、今月の米大統領選におけるトランプ氏の勝利とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のコメントに基づき、来年の米利下げ予想を後退させている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は11月6-7両日に開催した定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き下げ、4.5-4.75%にすると決定した。さらに12月18日の年内最後の定例会合でも再び利下げを決定すると引き続き広く予想されている。
ただ、2025年のFOMCの8回の定例会合のうち、少なくとも最初の数回は利下げが続くと予想していた少数の銀行が今週、その見方を撤回した。
最近そうした動きを見せたのは、バークレイズとトロント・ドミニオン銀行(TDバンク)だ。両行のチームはトランプ政権下で移民規制が強化され、輸入関税が引き上げられる可能性を指摘。こうした政策はインフレを加速させ、米金融当局の政策の方向性を変える可能性があるとした。
8日の米国市場では、短期債利回りが上昇。金利先物市場では25年の利下げペース鈍化を織り込んだ。
TDバンクのオスカー・ムニョス、ジェナディー・ゴールドバーグ両氏が率いるチームは7日付のメモで、「このようなシナリオの中で、一部の投資家は米金融当局が利上げを開始すると予想するかもしれないが、われわれは米金融当局がインフレと成長への影響を見極めるために利下げを一時停止すると予想している」とコメントした。
TDは、米金融当局が1月から7月まで金利を据え置き、トランプ次期大統領の新たな政策の影響を見極めた後、経済が減速するにつれて利下げを開始すると見込んだ。
バークレイズでは、米国担当チーフエコノミストのマーク・ジャンノーニ氏率いるチームが、来年のインフレ予想を引き上げる一方、国内総生産(GDP)の予想を引き下げた。その上で25年の米利下げ回数予想を従来の3回から2回に下方修正した。