関西人の「知らんけど」の本当の意味を東京の人は知らない…論破型の関東と決定的に違う関西流の話し方
■天才は、人付き合いから生まれる イノベーションが生まれる要因は、さまざまあります。 関西経済同友会の方と一緒に『Think Bigger』という本を書かれたシーナ・アイエンガー先生にお会いした時、彼女がとても面白い話をされていました。 「ピカソはなぜこれほど有名な画家になったのでしょうか? もちろんピカソには類まれな絵画の才能があります。しかし、彼の素晴らしいところは大変付き合いが広かったということです。 様々な研究家がピカソの交友関係を調べているのですが、非常に多くの画家『以外』の方と会っています。そこで自分の絵を見せることで反応を見てそれを改良して素晴らしい絵にしていたのです。 また天才物理学者のアインシュタイン氏はどこがすごかったのでしょうか? もちろん数学的な頭脳があったのは事実でしょう。 もう一つ面白いことに、彼は一時期特許庁で審査官をやっています。ここで多くの特許案件を審査するうちに、様々な技術を知り、それをうまく結合して相対性理論などの革新的な物理学の理論を開発したのです」 つまりどんな天才も、たくさんの人のアイディアに囲まれたからこそ、生まれたというわけです。 さて、一方で関西です。 共感、共鳴を大事にする関西、ダイアログを大事にする関西では、非常に多くの方と知り合うことができます。様々な出会いを大事にしている関西企業、関西の人材だからこそ、思いがけないイノベーションが生まれる可能性が高いのです。 ---------- 石川 智久(いしかわ・ともひさ) 日本総合研究所調査部 調査部長/チーフエコノミスト/主席研究員 北九州市生まれ。東京大学経済学部卒業。三井住友銀行、内閣府政策企画調査官等を経て、現職。2019年度神戸経済同友会 提言特別委員会アドバイザー、2020年度関西経済同友会 経済政策委員会委員長代行を務めたほか、大阪府「万博のインパクトを活かした大阪の将来に向けたビジョン」有識者ワーキンググループメンバー、兵庫県資金管理委員会委員などを歴任。関西経済分析の第一人者として、メディアにも多数寄稿・出演。著書に『大阪の逆襲』(青春出版社・共著)、『大阪が日本を救う』(日経BP)など。 ----------
日本総合研究所調査部 調査部長/チーフエコノミスト/主席研究員 石川 智久