シドニーでの慰安婦像設置問題 その背景と影響とは
この後、当事者のオク副市長を除く市議全員が採決。設置の是非をめぐる判断を州政府と連邦政府に委ねることを全会一致で採択した。ストラスフィールドの計画は事実上、見送られた格好だが、慰安婦像設置の動きが今後ほかの地区でも浮上する可能性は否定できない。 シドニーは世界中からの移民が集まる「人種のるつぼ」。全人口に占める海外生まれの人の割合は40.1%とオーストラリア全体平均(30.2%)を大幅に上回っている。平常時は各人種グループが地域社会を形成して平穏に暮らしているが、本国で紛争や人種間対立が起きると現地社会に飛び火するケースがある。 東アジア出身者の中でも特に日本人と韓国人は生活エリアや商圏が重なっている。日本食レストランで一緒に働いたり、1つの部屋で共同生活している若者も多い。慰安婦像設置の動きをきっかけに韓国・中国系社会に反日感情が高まれば、在豪邦人の生活にも少なからず影響が出そうだ。 (日豪プレス特約/守屋太郎)