ベイスターズ日本一の陰で小園健太が吐露した苦悩の1年 「ずっと悩んでいた。どうやったらうまくいくんだろうって...」
気持ちと体が連動しない日々。結局、小園は一軍昇格のチャンスをつかむことができず、シーズンを終えた。イースタンでの最終的な成績は、18試合に登板し、3勝3敗、防御率4.46というものだった。 【くよくよ考えても仕方がない】 待望の一軍デビューは果たせたが、ケガもあり厳しい現実を突きつけられた1年。だが、小園は顔を上げて前を向く。こんなところで落ち込んでいる場合ではない。 秋季トレーニングでは、量の練習に加え、入来祐作ファーム投手チーフコーチと、今季までファームS&Cを務め来季から投手コーチ補佐に就任する加賀繁の指導を個別に受けているという。 「チーム練習後に、フォームの部分を入来コーチや加賀コーチと一緒に取り組んでいます。また、いま理想としている動きを染みこませ無心で投げられるように、ブルペンに入る回数や球数などもかなり多くしてきました」 気づいたことがあったと小園は振り返る。それはみやざきフェニックス・リーグでのことだ。 「フェニックスで投げていても調子はいまいちで、そんな時に加賀コーチから『投げる時、左足の踵(かかと)をずっと相手に向けるようなイメージで出したらどうだ?』と言われ、やってみたら、いい感触を得たんです」 極端に言うと、踏み込む左足の踵を打者に向けて着地させ、腕を振る。大事なのは強く踏み込むこと。これまで小園は、フワッと着地していたため、踏ん張るところで左膝がぶれてしまい、制球に影響が出ていたという。必要なのは下半身の粘り強さ。ここで脇腹のリハビリ中にコツコツと鍛えてきた下半身が役に立つことになる。 「ボールの勢いが変わった実感もありますし、けっこうバッターを押し込めていた感覚があったので、あとはこれをいかに来季に向け機能させることができるか。まだ全然完成はしていないので、しっかりと動きを染みこませていかないといけない」 張りのある声で、小園は言った。悔しい1年だったことなのは間違いないが、不思議と落胆の影は薄く、意気軒高な様子が見てとれる。なにかあったのだろうか。そう問うと、小園は少しだけ苦笑し、口を開いた。