アレッポ市民、歓迎と不安 反体制派、市内に展開 シリア
【イスタンブール時事】内戦が続くシリアで、アサド政権の支配下にあった北部の要衝アレッポの大部分を反体制派勢力が掌握した。 拠点とする北西部イドリブ県から攻勢をかけ、わずか数日間で人口約200万人の第2の都市をほぼ制圧した電撃的な進攻。通信アプリで時事通信の取材に応じたアレッポ市民は、圧政からの解放を喜ぶ人と、今後の行く末を案じる人に二分されていた。 反体制派にとって、アレッポは2016年にアサド政権との「最激戦」の舞台となり、敗れて駆逐された因縁の地だ。現地の映像では、進軍してきた反体制派の戦闘員は市内各地に展開。反体制派の旗を掲げて約8年ぶりの奪還を誇示した。名所アレッポ城の前では笑顔で写真を撮り、アサド大統領のポスターを破り捨てる姿もあった。 米紙ニューヨーク・タイムズはアレッポからの現地報告で、飲食店などは通常営業を続け、住民を安心させるために反体制派がパンを配っていると伝えた。 アレッポ旧市街に住む男性アブ・イブラヒムさん(47)は「アレッポはムジャヒディン(イスラム戦士)に解放された」と歓喜した。「(アサド政権は)反対者を理由もなく弾圧し、不正がまかり通り、政権支持者のみが仕事などでも優遇されていた」と憤る。 英BBC放送によれば、反体制派がアレッポの大部分を制圧したと報じられた先月30日は、市外へ通じる道路で渋滞が続いた。イブラヒムさんは「犯した罪に対する仕返しを恐れる政権支持者は逃げ出すだろう。住民の8割は喜んでいる」と話し、かつてアレッポから各地へ逃れた元住民らも戻ってくると期待を込めた。 一方、政権に反抗する者を「テロリスト」と糾弾するアサド政権の支持者には不安が広がる。女性のザフラさん(40)は「鳴りやまない銃声」に耐えかね、夫や子供と一緒に着の身着のまま、クルド系主体の民兵組織が自治を行う地区に逃げ込んだ。ザフラさんは「戦闘員が至る所に侵入し、家々を壊している。私は平和が欲しいだけで、また『テロリスト』の下でおびえて暮らしたくない」と震える声で訴えた。