【アメリカから見た中国】北朝鮮の不安定化を恐れる中国
もし北朝鮮の体制が崩壊したら?
ゴールドシュタイン教授は、「中国の最後の懸念は、もし万が一北朝鮮の体制が崩壊したらどうするかということだ」と指摘する。 「朝鮮半島が、韓国のようなアメリカの同盟国のもとで統一される。そのことが中国の国境で新しい安全保障上の危機を生じさせるかといえば、それはありそうにない話です。アメリカが朝鮮半島の北まで軍隊を駐留させようとすることは起こりそうもない。しかし、冷戦終結後時のヨーロッパでは、旧ソビエト、現ロシアに接していた東ヨーロッパの国々がNATOのメンバーに入ることは、起こりそうもなかったが、現実に起きた。それを見た中国は、『そうですね、アメリカが朝鮮半島の北まで軍を駐留させることは、今日起こりそうもないですが、20年後はどうでしょう』と言うでしょう」 これらの2つの対立する考えは、時に矛盾する中国の北朝鮮への接し方と、朝鮮半島の紛争において、なぜ中国が時々周囲を不満に思わせる行動を取るのかを説明するのに役立つかもしれない。「中国は北朝鮮を心配しており、北朝鮮に責任をもって行動するよう促したいし、北朝鮮に経済やその他全てのことを改革させたいと思っていますが、これら中国の考えは、北朝鮮にほどんど影響力がないのです。同時に中国は、韓国と良好な関係を築いている。そのことによって中国は、朝鮮半島において、将来、韓国のリーダーシップのもと、統一された体制を想像することも可能になっているかもしれません」 (つづく) ◆アヴェリー・ゴールドシュタイン ペンシルバニア大学現代中国研究所所長、同大学教授。国際関係論、安全保障論、中国政治が専門。中国研究の第一人者として知られ、最近の著書に「China’s Challenges: The Road Ahead (U. of Pennsylvania Press 2014)」がある。 (取材・文 マシュー・コラサ、翻訳・中野宏一/THE EAST TIMES)