「ガザ地区もイスラエルだ」「パレスチナ人などいない」─“ガザ地区への植民”を目指す意見にお墨付きを与えるイスラエル政府与党
入植のための戦争
一般参加者からも、次々と過激な主張が飛び出した。76歳のある女性は、「ガザ地区は私たちのものです。『ユーフラテス川からエジプトの川まで、この土地をあなたに与えた』とトーラーに書かれています。死者が出るかもしれません。でも、血を流す必要があるなら、私自身が流しても構いません」と述べる。 ヨルダン川西岸地区の入植地から来たという54歳の男性は、「ガザに定住したい国民が大勢いるなら、ネタニヤフはバイデン米大統領に、『これが国民の意思なのだ』と言うしかないでしょう」と述べ、国際社会の圧力も気にならないと主張する。 集会を主催した中心人物であり、入植者組織代表のダニエラ・ワイスは、外国の報道陣のためにわざわざ英語で、「目標は、北から南までガザ地区全体に入植地を作ることです。いま、何千人もの人々がガザに移住する準備ができています」と明言する。 さらに、「準備に時間がかかるでしょうが、レバノンについても入植を考えています」と述べ、現在イスラエル軍がおこなっているハマスとヒズボラの掃討作戦は、自分たちが入植するためにほかならないという考えを示した。 ネタニヤフはこのような意図を政府の公式見解としては認めていない。だが、これまでイスラエル政府は、ヨルダン川西岸地区への違法な入植をやめさせるどころか、既成事実として黙認し、保護してきた。ワイスはこれを大きな成功例とし、「ヨルダン川西岸地区をガザ地区にコピー&ペーストするのだ」とも述べている。 当初の目標だったハマスの指導者殺害を果たしてもなお、恒久的な停戦や本腰を入れた人質解放交渉を検討せずに、実態の見えない「完全勝利」を掲げて民間人を巻き込んだ攻撃を強行するネタニヤフは、ワイスのような考え方にお墨付きを与えていると言える。
COURRiER Japon