農福連携の発展期待 徳之島伊仙町 バレイショ加工施設が完成
鹿児島県伊仙町が国の農山漁村振興交付金を活用して同町面縄に整備したバレイショ処理加工・集出荷貯蔵施設の落成式が6日、同施設であった。アルコール、ギャンブル、薬物などの依存症患者を雇用して自立を支援する。落成式には関係者約50人が出席。神事で無事故安全を祈願するとともに、新たな農福連携事業の発展に期待した。 同事業は町が進める面縄地区活性化計画の一環。施設は株式会社奄美ブルー・スカイ農園(榮時弘代表取締役)が運営する。2022年度以降、同施設のほかに農業用器材や拠点施設などを面縄地区に整備した。総事業費2億2114万円のうち半分が国の交付金。今年度は農業用ハウス2棟(1000平方メートル)を整備する。 同施設は鉄骨1階建て(600平方メートル)。内部はバレイショの集出荷貯蔵スペースと処理加工スペースの2区画に分かれる。処理加工されるのは大きさや、傷、病気などの理由で食用に問題はないが出荷できない規格外のバレイショ。洗浄、裁断、熱処理した後、真空パック処理して業務用として出荷する。
本来は前年度に完成する予定だったが、建設を受注した設計業者の担当者による文書偽造が発覚。建設が一時中断し、完成が約半年遅れていた。 同農園は現在職員5人で利用者は10人ほど。榮代表は「バレイショの加工は20~30トンが目標。来年の収穫期までにサツマイモの栽培や加工にも着手したい」と意欲を語り、「徳之島にある資源を最大限に生かして利用者の社会復帰と地域活性化を応援したい」と目標を掲げた。 落成式に出席した大久保明町長は「食料自給率や生産意欲の向上のためにも廃棄されるバレイショの活用は喫緊の課題だった。全国でも先進的な取り組みで、今後の農福連携のモデルとなっていくと確信している」と自信を込めた。