南北陸路爆破後、高まる軍事衝突の危険性にも…危機管理に無神経な韓国政府
京義・東海線道路爆破後
今月15日、南北連結道路の京義(キョンウィ)線・東海(トンヘ)線の一部区間を爆破した北朝鮮が、海上や陸上の軍事境界線一帯で「局地挑発」を続ける可能性があるとみられている。韓国政府の危機管理機能がいつになく重要な状況にもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「政権安保」のために国家的安保危機を放置しているという声があがっている。 合同参謀本部(合参)の関係者は16日、「北朝鮮軍の京義線・東海線道路爆破は、局面転換用の『見せかけの行動』とみられる」とし、「北朝鮮が今後もこのような『小さな挑発』を続ける可能性がある」と述べた。北朝鮮の7回目の核実験、軍事偵察衛星や大陸間弾道弾発射のような「大きな挑発」が実行されるかどうかは、来月の米大統領選挙の結果を見てから中長期的に判断する可能性があり、当面は南北の境界地域で「軍事的対抗措置」のレベルを高めるだろうという予想だ。 軍当局が予想する北朝鮮の軍事行動は、無人機(ドローン)による軍事境界線以南への浸透▽航空機を使った軍事境界線付近での威嚇飛行▽非武装地帯内で大規模な兵力・重火器を投入した訓練実施▽軍事境界線一帯での砲射撃による軍事訓練▽北方限界線一帯の海岸砲射撃などだ。南北が昨年と今年にかけて両側の境界地域に緩衝区域を設定した9・19軍事合意の無効化を宣言したため、南北間の偶発的衝突の危険性が一層高まった状態だ。 まず予想できるシナリオは、北朝鮮が「平壌上空へのドローン」への対抗として、「ソウル上空へのドローンの浸透」を試みた場合だ。韓国空軍の対北朝鮮偵察飛行の強化に対抗し、北朝鮮空軍も軍事境界線一帯で偵察飛行を拡大したり、黄海道基地から離陸させた空軍機を軍事境界線まで速い速度で南下させ、軍事境界線通過直前に機首をかえる形で、威嚇飛行を行う可能性もある。 陸上での軍事行動も排除できない。軍事境界線以北の非武装地帯に兵力をさらに投入して捜索偵察規模を広げ、非武装地帯に重火器を搬入して砲射撃など大規模な軍事訓練を行う可能性もある。特に、対北朝鮮ビラをつけた風船やドローンが軍事境界線の北側に渡った場合、南北間の武力衝突が起きる危険性が高い。北朝鮮軍がビラ散布用風船や無人機を狙って対空兵器で射撃した場合、銃弾、砲弾が軍事境界線の南側に落ちる可能性があり、これに韓国軍が対応射撃を行えば、武力衝突に拡大することもあり得る。 黄海道に配備された北朝鮮の海岸砲が砲門を開き、北方限界線(NLL)に向けて海上射撃訓練を行うことも考えられる。今年1月、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が北方限界線を不法・無法だと述べたことで、北方限界線付近で南北海軍間の武力衝突が生じる可能性も高くなった。 軍関係者は「軍事的緊張の高まりに伴い、国境地域住民の不安も高まっている」という質問に対し「抑止は力によって達成される」という原則的な回答をした。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「尹錫悦政権は危機管理と状況管理には関心がない。政権安保のために安保危機を放置しているのではという疑念を抱かせるくらいだ」と話した。 クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )