「川端龍子+高橋龍太郎コレクション ファンタジーの力」(大田区立龍子記念館)開幕レポート。現代美術の多彩な目で見る川端龍子の「ファンタジー」
東京都現代美術館での大規模展「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」も話題を集めた、日本を代表するアートコレクターで精神科医の高橋龍太郎 。そのコレクションを日本画家・川端龍子(1885~1966)の作品と融合させた企画展「ファンタジーの力」が、大田区・大森の大田区立龍子記念館で開幕した。会期は2025年3月2日まで。 本展は、2021年に開催され好評を博した「川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション 」の続編。今回の展示では、「ファンタジー」をテーマに、高橋コレクションが所蔵する草間彌生や李禹煥、奈良美智、加藤泉、丸山直文、宮永愛子 ら24名の現代アーティストの作品と、川端龍子の日本画が館内のみならず、館と隣接する国の有形文化財・旧川端龍子邸のアトリエ「画室」でも共演する。 今回の展覧会における「ファンタジー」は「誰もが心に描ける世界」のことであり、本展では他者の物語を大切に想像する時間を本展にて提供することで、混迷の時代におけるより良い生き方を志向することを目指す。また、会場各所には、ブックディレクター・幅允孝がセレクトした、鑑賞者の「ファンタジー」を拡張する契機になるような本を収めた本棚も設置されており、作品との様々な関係性を創出する可能性が提示されている。
文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)