発車時刻の10分後に来たのは、2時間前に出発予定のバスだった 「安かろう悪かろう」の米グレイハウンドバス「鉄道なにコレ!?」【番外編・上】
▽休憩後の集合時刻に1分遅れた客に雷を落とす運転手 運転手が「ここで15分間の休憩を取ります。今は(午後)0時55分なので1時10分にはバスに乗っていてください」と声を張り上げ、扉を開けた。 このサービスエリア(SA)の名称は「バイデン・ウェルカム・センター」。地元デラウェア州に長く住んできたジョー・バイデン米大統領から命名されている。 集合時刻に1分遅れた女性がおり、運転手は「私は1時10分に戻るように言ったわよね!」と雷を落とされていた。バスが遅れて他の乗客にも迷惑をかける行為であるだけに、注意するのは理解できる。ただ、バスは2時間超も遅延しながら全く謝罪の言葉もなく、1分遅れた客をしかりつける様子に違和感を覚えた。 ▽結局3時間以上遅れて到着、いい加減なサイトの運行情報 ハドソン川の下をくぐってニュージャージー州とマンハッタンを結ぶ水底トンネル「リンカーントンネル」(約2・4キロ)の入り口に近づくと道路は渋滞している。マンハッタンの摩天楼を川の向こうに一望しながらも、のろのろ運転が続いた。
マンハッタンの繁華街タイムズスクエア近くにあるポートオーソリティー・バスターミナルに着いたのは午後4時8分と定刻の3時間3分遅れだった。運転手が遅れを謝罪することは最後までなく、「1日がほとんど終わっちゃったね」という乗客の少女が声を落としたのが胸に刺さった。 不思議なのは公式サイトの運行情報で、ボルティモアの到着時刻は「11:59am」と実際より30分近くも遅延を“割り増し申告”する一方、ワシントン発とニューヨーク着は定刻の30分遅れだったと表示し続けたことだ。利用者から遅れへの苦情を受けた際、「当社サイトによると30分遅れで到着しています」とかわすための弥縫策だろうか? ただし、米国の公共交通機関に遅延はつきもので、評判の芳しくないグレイハウンドならば遅れる可能性が高いのは想定済みだった。だが、それにも増して利用者を不安に陥れる問題山積のグレイハウンドの“真骨頂”を思い知ったのは翌日の復路だった…。
(「安かろう悪かろう」の米グレイハウンドバス「鉄道なにコレ!?」【番外編・下】に続く) ※「鉄道なにコレ!?」とは:鉄道と旅行が好きで、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」の執筆者でもある筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。ぜひご愛読ください!