発車時刻の10分後に来たのは、2時間前に出発予定のバスだった 「安かろう悪かろう」の米グレイハウンドバス「鉄道なにコレ!?」【番外編・上】
グレイハウンドはアムトラックなども乗り入れるワシントンの玄関口、ユニオン駅の建物にあるバスターミナルを発着する。9月9日に出発20分前の午前8時10分に到着し、ニューヨーク中心部マンハッタン行きバスが発車するとおぼしき乗り場に着いた。ところが、すると、乗車券に「DまたはEが待機場所」と案内していた「D」と「E」の両方のポールに予約客の行列ができていた。 並んでいた女性に「ニューヨーク行きのバスはどっちですか」と尋ねると、「あなたは何時発のバス?」と確認されて「8時半発です」と伝えた。 すると、「このEの列よ。1時間遅れると言っていたわ」と教えられた。列に並んでスマートフォンでグレイハウンドの公式サイトの運行情報を調べたところ、発車予定時刻は定刻の「08:30am」を表示している。 困惑していると、午前8時40分ごろにバスが横付けされた。もしかすると女性が聞いた時点から状況が改善し、遅れが短縮した可能性が脳裏に浮かんだ。 ▽8時40分に来たのは、6時45分発のバス
しかしながら、そんな淡い期待は、バス先頭部から出てきた運転手の第一声に吹き飛ばされた。「これは6時45分発のバスです。後続も遅れるので待つように」。隣のDの列は約2時間前に出発すべきバスを待っていた利用者の行列だったのだ。 午前8時45分ごろ、列の前方に並んでいた女性利用者が最新情報の「バスは9時半から10時にならないと来ないそうよ」と、あきらめ顔で「コーヒーを飲んでくるわ」と立ち去った。同じように列を離脱しようかと迷っていると、8時48分にスマホのテキストに「遅延している」と連絡が来た。 そこで再度サイトを確認すると、発車予定時刻が「09:00am」に変更されている。万が一、9時半以降という情報を信じて列を離れてしまい、実際には9時に到着した場合は乗り遅れるリスクがある。 仕方なく呆然と列にとどまっていると、追加料金を支払えば好きな座席を選べるサービスを「VIP気分で」と売り込んだ広告が目に入った。定時運行もままならない安いグレイハウンドで「VIP気分」とは悪い冗談のようだ…。