新年度に好スタートを切るために「学級納め」が大切な訳 次の学年にどう子どもたちを引き継ぐのか
教室掃除で完全リセット状態にする
学級納めの終盤では、教室の掲示物をどんどんはがして子どもたちにあげています。 私は1年間、子どもたちとともに教室をつくっています。子どもたちの気付きや学びを場示物として可視化し、教室中に掲示しています。年間を通してかなりの枚数になるはずです。それらの掲示物は、担任が保存するのではなく、その年の子どもたちにプレゼントしてきました。なので僕の手元には写真しか残りません。 進級後も教室に貼っているという子もいます。卒業した子から「今でもあのときの掲示を自分の部屋に貼っていますよ」という子も。「学びの足跡を子どもに返す」ことのひとつです。 あとは、みんなで過ごした教室を徹底的にきれいにして次にこの教室を使う後輩や教師に引き継ぐようにしています。ただの大掃除レベルではなく「完全リセット状態」を目指します。 メラミンスポンジや中性洗剤、クレンザー等を用意し、窓ガラスについたテープ跡、黒板の汚れ、床の汚れ、机や椅子の天板や足の裏、ゴミ箱の周りや中、掃除道具入れなど、みんなで細部にわたるまで掃除をします。 次にこの教室を引き継ぐ教師が「こんなきれいに掃除された教室を引き継いだのは初めてです!」というくらいやります。「立つ鳥跡を濁さず」です。
「10年後映画」を作成する
1年間の締めくくりの学級納めの会では、みんなでつくった動画作品を鑑賞しています。 これまでは、1年間で撮りためた写真や動画を使ってスライドショーをつくり、保護者と鑑賞してきましたが、最近は子どもたちをキャストにした映画をつくって上映しています。 台本は子どもたちの書いた物語を土台にしてまとめています。SFやファンタジー物は小道具等が大変なので現代劇がいいでしょう。私の場合「10年後の私たち」をテーマに物語をみんなで書き、それをうまくミックスしながら台本を書いています。 「21歳の私は、大学で音楽を学びながらミュージシャンを目指しています」「今、アメリカで英語を学びながらユーチューバーとして毎日動画を配信しています」などなど、こうなっているといいなという将来の自分を想像しながら物語を書き、それらを基に配役を決め、台本をつくっていきます。映画ですので、台本を基にした「絵コンテ」をつくっておくと撮影がスムーズに進みます。 撮影はタブレット端末を使って行います。何度でも撮り直しが可能で、端末内の動画編集アプリを使うと短時間で編集作業ができます。音声だけ収録して、後付けで加えることも可能です。得意な子がいれば、撮影や編集も子どもたちに任せることもできます。動画鑑賞会は、保護者に子どもたちの将来の願いが伝わる会となりました。お勧めです。 そして新学期は、新しく担任する教室が決まったら、まず教室内を細かくチェックします。「黒板」「窓ガラス」「窓枠」「窓側の手すり」「教室前後の扉」「ロッカー」「掲示板」「教師用机」「児童机と椅子」などです 前年度、学年末に大掃除できれいにしてくれたはずなのに、探すとまだまだ汚れが残っています。特に厄介なのが「黒板や窓に付いたテープ跡」です。 ビニールテープやセロハンテープが長い間貼られたことにより、テープについていたのりが経年により固形化し、頑固にこびりついてしまっています。固形化したテープ跡にアルカリ電解水をかけ、メラミンスポンジでこすると少しずつのりが柔らかくなり、きれいに除去できます。