【Bリーグ開幕特集 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ】日本人エースの獲得に成功、長距離砲スタイルに磨きをかけて悲願の王者へ!
3ポイントチーム化に成功し初のチャンピオンシップベスト4!
例年ロスターのケガに悩まされ続けていた名古屋ダイヤモンドドルフィンズだが、2023-24シーズンはほぼフルメンバーでチャンピオンシップに臨み、見事ベスト4という結果を残すことに成功。「健康な名古屋Dは強い」ということをあらためて示すことができたシーズンであった。 2022-23シーズンから2023-24シーズンにかけて、リーグ18位の3ポイント試投割合(34.2%)からリーグ9位(38.8%)まで引き上げ、その決定率もリーグ2位(36.8%)と3ポイントシュートを主体としたオフェンス戦略を確立。3ポイントシュートはどうしても決定率が低いためオフェンスリバウンドが重要になってくるが、オフェンスリバウンド獲得率(ショットが外れたシチュエーションにおけるオフェンスリバウンドを獲得した割合)37.7%とリーグ1位の割合で獲得できており、自分たちのオフェンスポゼッションを長く維持していた。 スタッツで見ると若干の課題になっていたのはディフェンスだろう。ディフェンシブレーティング(100回攻撃された場合の平均失点)はリーグ9位(107.5)と低くはないものの、セミファイナルで敗れ、その後優勝した広島ドラゴンフライズ(リーグ5位、104.5)と比較すると上位進出の鍵になっていることは否めない。そのディフェンシブレーティングを押し下げている要因として考えられるのは、リーグワースト8位(69.2%)のディフェンスリバウンド獲得率(相手のショットが外れたシチュエーションにおけるディフェンスリバウンドを獲得した割合)と、それに伴って上昇しているセカンドチャンスにおける失点割合(リーグ2位 16.3%)だろう。 これはおそらく名古屋Dの武器である、ゾーンDFを敷いていた結果と予想される(ゾーンDFは人を守るマンツーマンDFと比較して、ディフェンスリバウンドを取り辛いとされている)。このテクニカルなゾーンDFは有効である場面も多く、このリバウンドに関するスタッツだけで論じることはできないが、今季はショーン・デニスHCのディフェンス戦略に注目だ。 【注目選手】 ルーク・メイ 平均27分出場、20.9得点、2FG54.12%、3FG39.7%と、2024年2月に茨城に加入後19試合出場と少ないながらも、強烈なインパクトを残したストレッチビッグマン。ルークの強みは、ドリブルからプルアップ3ポイントシュートを得意としている点に他ならない。オーソドックスなタイプのストレッチビッグマンはピック&ポップや、コーナーに待機しキックアウトパスを受けて3ポイントを放つ、所謂キャッチアップシュートを得意としているが、ルークはキャッチアップシュートが難しいシチュエーションであっても、ドリブルでDFを揺さぶって3ポイントシュートを決めることができる。オフェンスを組み立てなおす必要がないため、ガードやHCにとってありがたい選手であり、名古屋Dらしい補強と言えるだろう。 加藤嵩都 福島ファイヤーボンズでプロ契約2年目をスタートさせた昨シーズン、スターターとして9.8得点、4.3アシスト、3ポイント決定率38.3%と安定したスタッツを記録。福島のボールポゼッションのうち、約15%が加藤選手のシュート(またはターンオーバー)で終わっており、日本人エースとして大活躍。味方のシュートを演出したポゼッションも含めると、福島のオフェンスを良い意味で支配していた若手有望株。コートを縦に切ることができる鋭いドライブとパスセンス、トップ、左コーナーから放つキャッチアップ3はともに45%を超える決定率を誇り、得意とする左ドライブからのプルアップ3も高確率で沈めることが可能。伊藤達哉が琉球へ移籍したこともあり、まずは坂本聖芽と激しいプレータイム争いになりそうだ。 ザイラン・チータム 昨シーズンはニュージーランドブレイカーズに所属し、ほぼ全試合スターター出場、15.0得点、7.0リバウンド、1.5アシストを記録。チームの攻撃の約20%を担っていたエースプレーヤー。名古屋Dに加入した外国籍選手としては珍しく、得点のほとんどは2ポイントやフリースローから生み出されている。屈強な体格と跳躍力を生かしたドライブを得意としており、多少のフィジカルコンタクトでは止めることはできない強靭さを持つ。ディフェンスにおいても、ヘルプDFのほとんどを任されており、DFもハードにこなすことができる。元来3ポイントによってスペーシングに寄与するタイプの選手ではないものの、名古屋Dに加入したことで3ポイント試投数が倍増したティム・ソアレスという例も存在するため、どのようなアジャストを見せてくれるのか楽しみな選手だ。
しんたろう
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