70歳の叔父の医療費負担は3割だそうです。「現役並み所得者」だからだそうなのですが、いくら以上の所得の人が該当するのでしょうか?
病気やけがをしたときに、病院などの医療機関で診察・投薬・治療など必要な医療サービスを受けてかかる費用が医療費です。この医療費は、医療保険制度があることで、全額負担をする必要がなく、年齢と所得によって負担割合が変わってきます。 本記事では、負担割合がどのように決まっているかを確認し、70歳の方の医療負担が増える「現役並み所得者」の定義について確認してみます。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
負担割合はどのように決まるか
医療費を窓口で支払う際の自己負担割合は、図1のように決まっています。 すなわち、 1.6歳(義務教育就学前)未満は2割負担 2.6歳(義務教育就学後)から69歳までは3割負担 3.70歳から74歳までは原則2割負担ですが、現役並み所得者については3割負担 4. 75歳以上については、原則1割負担 となります。
ただし、図1のように令和4年10月1日から75歳以上であっても、現役並み所得者は3割、現役並み所得者以外の一定所得以上の者は2割負担となっています。
「現役並み所得者」とは?
では、本テーマである70歳の場合(70歳以上)の「現役並み所得者」とはどういう人をさすのかを解説してみます。 1. 国民健康保険加入者の場合 世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者(70~74歳)がいる場合、また、その被保険者に加えて、被扶養者(70~75歳未満)がいる場合は、その被扶養者も「現役並み所得者」扱いとなります。 例えば、夫が「現役並み所得者」で、その扶養に入っている妻が70歳以上75歳未満であれば、「現役並み所得者」として扱われます。ただし、上記の場合でも以下に該当する場合には1割負担となります(以下は一例です)。 (1) 世帯の被保険者(70~74歳に限る)全員の収入の合計額が520万円未満 (2) 世帯の被保険者(70~74歳に限る)が1人の場合は、383万円未満 2.被用者保険(会社員などが加入する健康保険) 標準報酬月額すなわち、毎月得られる給与が28万円以上で70歳以上の被保険者が「現役並み所得者」に該当します。加えて、その方の70歳以上の扶養者も同様に「現役並み所得者」に該当します。 ただし、上記の場合でも以下に該当する場合には1割負担となります(以下は一例です)。 (1) 被保険者およびその被扶養者(70~74歳に限る)の収入の合計額が520万円未満 (2) 被扶養者(70~74歳に限る)がいない場合は、383万円未満である場合
まとめ
70歳であれば、医療負担は原則2割ですが、「現役並み所得者」に該当する場合には3割負担となります。「現役並み所得者」とは、現役世代の平均的な所得以上である場合に該当し、加入する保険によって基準が異なります。 また、例外規定もありますので、お住まいの市町村の担当窓口もしくは、お勤めの会社の担当窓口に相談するといいでしょう。 出典 政府広報オンライン 後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい? 厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について 厚生労働省 (参考)医療保険制度の「現役並み所得者」について 執筆者:堀江佳久 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部