成田空港 第3ターミナル、開業の狙いは?
また、施設の天井はむき出しにし、また随所にガラスではなく金網を使用することでコストを低減。しかし、利用客に施設案内や出発ゲートへの案内などを掲示するサインは、壁や柱に直接ペイントするか、むき出しになった天井の梁に“ターポリン”と呼ばれるテントや横断幕に使われる布地を貼りつけて設置することで、ランプを内蔵した自発光式の看板と比べてコストを大幅に下げながら見やすい案内サインを設置することができたのだそうです。「第1、第2ターミナルと比べて、第3ターミナルは窓が少なく壁や柱が多いが、その構造を逆手にとって視認性の高い案内サインを設置することで、利便性を高めることができた」(伊藤さん)。
2020年に向けて第3ターミナルを外国人観光客増加の中心に
成田空港の竹内さんによると、この第3ターミナルの初年度旅客数見込みは500万人。ターミナルの設計上の処理能力である年間旅客数約750万人という数字は早期に達成できるのではないかとしています。その背景には、ここ数年で増加しているアジアをはじめとする外国人観光客の増加。この動きは東京オリンピックが開催される2020年に向けて加速していくことが見込まれ、羽田空港と並んで成田空港に対するニーズも増加していくものと思われます。 この点について、竹内さんは「ビジネス利用のニーズは羽田空港に流れているものの、今後も増加が見込まれる観光ニーズについてはLCCが得意としているアジア近距離路線を中心に取り込んでいけるのではないか。また、北米・欧州から日本国内、アジア各国への乗り換え拠点として、羽田空港と共にネットワークを拡大していきたい」と語っています。 LCCのビジネスモデルに合わせて低コスト・高利便性を実現した第3ターミナルの動向は、2020年に合わせて観光振興を盛り上げたいと考えている地方の国際空港にとって、アジアからの外国人観光客増加を受け入れる“受け皿”として重要なモデルケースになるのかもしれません。今後の利用客からの評判の声などに注目したいところです。 (執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)