成田空港 第3ターミナル、開業の狙いは?
第3ターミナルのキーワードは「低コスト」、その狙いは?
成田国際空港株式会社 旅客ターミナル部の竹内政樹さんにお話をお伺いしたところ、LCC専用施設としてこの第3ターミナルを建設した背景には、LCCのニーズがここ数年で急増していることが挙げられるといいます。LCCの発着回数は成田空港全体の20%を超え、今後も増加が見込まれているのです。 しかし、既存の第1、第2ターミナルは設備が充実している分、空港の施設使用料が高く、JALやANAといった“フルサービス”を提供する会社とは異なるビジネスモデルを展開するLCC各社と、より安い運賃でエアラインを利用したいLCC利用客にとって、この施設利用料は大きな負担になっていました。そこで成田空港は、建設予算を既存のターミナルの約6割に抑えた新ターミナルを建設し、航空会社や利用客が負担する空港使用料を低く抑えることで、LCCにとって使いやすいターミナルを運用しようと考えたのだそうです。「空港使用料を低く抑えることで運賃への転嫁が軽減され、エアチケットの価格も抑えられるはず。LCCというビジネスモデルの成長を後押しできるのではないか」(竹内さん)。 ちなみに、利用客が負担する空港サービス利用料は、国内線が往復で760円(第1・第2は880円)。国際線では1,020円(第1・第2は2,090円、旅客保安サービス料を除く)と半額程度に抑えられています。
低コストと利便性・快適性を両立するための様々な工夫
低コストで建設されたターミナルと聞くと、第1、第2ターミナルと比べて利便性や快適性で劣るのではないかとイメージしそうですが、施設内には利用客が快適に利用できるような様々な工夫が施されています。 施設に足を踏み入れてまず印象的なのは、足元。利用客の導線には、出発は青、到着は赤と陸上トラックをイメージさせるような色分けがされており、素材には実際に陸上トラックに使われているゴムチップが使用され、その設置も陸上競技場のトラックを建設する会社が行ったのだそうです。 施設内のデザインを担当したPARTY代表取締役の伊藤直樹さんによると、この陸上トラックをイメージした通路は、“動く歩道”が随所に設置された第1、第2ターミナルと比べて、徒歩による移動が多い第3ターミナル内で利用客の足の負担を軽減させるために考案されたもので、出発・到着で色分けがされたのは、コンパクトなターミナル内で利用客の導線が一本化されているから実現したのだそうです。実際に歩いてみると、柔らかいゴム素材のお蔭で足が疲れにくく、また出発の場合は青のラインに沿って歩けば良いので、看板などを確認しなくても直感的に進む方向がわかるのが便利です。