鳥インフル世界的拡大 米国では乳牛間で流行 熱処理ない牛乳には感染リスクも
■非加熱なら感染も
乳牛への感染となると気になるのが、牛乳を介した感染リスクだ。
東京大新世代感染症センターなどが、米国の感染牛の牛乳を調べたところ、1ミリリットル当たり最大1000万個以上のウイルスが検出された。この牛乳を、熱処理せず低温(4度)で保管すると、ウイルスは5週間にわたって感染性を維持。マウスに接種すると、全身の臓器でウイルスの増殖が確認されたという。
一方、米国の一般的殺菌法とされる63度で30分間(低温殺菌)、72度で15秒間(高温殺菌)で熱処理すると、ウイルス量は3万分の1以下に減少した。同センターの河岡義裕機構長は「感染した牛の牛乳を熱処理せずに飲めば人も感染する恐れがあるが、熱処理で、感染リスクは大きく減らすことができる」と話す。
米「製品は安全」
米食品医薬品局(FDA)は、牛乳製品は市場に出る前に加熱殺菌されており、安全性に懸念はないとの見解を示している。
坂本哲志農林水産相は今月18日の会見で、米国からの生体牛の輸入は2003年以降は停止されており「乳牛を介して感染が広がる恐れはない」と説明。ただ野鳥から牛が感染する恐れはあるため、生産者らに飼養管理の徹底を呼びかけた。
国内で流通する牛乳については「加熱処理を行っているので、人への健康影響はないと考えている」と話した。(三宅陽子)