銀行の信用コスト、低位に抑制されている=内田日銀副総裁
Takahiko Wada [東京 14日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は14日、国際預金保険協会の年次コンファレンスで講演し、日本の銀行の信用コストは低位に抑制されていると述べた。コロナ後に企業のデフォルト率が再び上昇したが、金融機関の貸出債権のポートフォリオの質については「企業間のばらつきに留意する必要はあるものの、企業財務が改善を続けるもとで全体として維持されている」とした。これまでの日本の金利上昇は欧米に比べてかなり緩やかで、銀行ビジネスや金融システムに与える影響も同様だと話した。 内田副総裁は、全体として日本の金融システムは安定性を維持していると指摘した。金融機関はグローバルな金利上昇シナリオや国際金融危機型のストレスを含め、各種リスクに耐え得るだけの充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有しており、金融仲介活動は引き続き円滑に行われているとの認識を示した。 2023年には米欧の一部金融機関で経営問題が発生した。内田副総裁は、経済・金融情勢とそれに伴うリスクを理解していても、「将来起こり得るショックがどのようなものになるか、予測することは困難だ」と述べ、平時から他の中央銀行や金融機関と緊密なコミュニケーションを取っておくことが重要だと強調した。その上で、金融システムのグローバルな連関の高まりやノンバンクの存在感の高まり、デジタル化などに留意する必要があると述べた。