公民館教室で「初代伊八」の傑作訪ねる 鴨川(千葉県)
安房の三名工の一人、初代波の伊八(武志伊八郎信由)の没後200年に当たり、より深く伊八を知る教室が、鴨川市天津小湊公民館主催で開かれた。市民ら20人が座学で人物像を学び、安房と夷隅地域に残る作品を訪ねた。 武志伊八郎信由は、宝暦2(1752)年に現在の鴨川市西条地区に生まれ、安房や上総、江戸など広い地域で、寺社の彫り物を手掛けた。作品の多くに「波の伊八」の由来となる特徴的な波を描き、彫り物大工の間で「関東に行ったら波を彫るな」といわれ、葛飾北斎の「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」にも影響を与えたとされる。 今年は、文政7(1824)年に73歳で没して200年の節目に当たる。今回の催しでは、同市郷土資料館の館長などを務め、伊八の研究の第一人者として知られる石川丈夫氏を講師に迎え、新たな知見で伊八の人物像を探ろうと、全4回で教室を開いた。 2回目以降は、伊八の作品がある地元の鴨川市をはじめ、南房総市、いすみ市の寺社、資料館などに足を運んだ。いすみ市の飯縄寺では、伊八の最高傑作と称される本堂の欄間の「牛若丸と大天狗」などを見学した。 石川氏は、これまでの研究をもとに、年齢とともに円熟していく伊八の作品の制作過程、時代背景を解説。参加者は、木材の年輪模様や経年変化後の姿まで計算された作品に感心していた。