ベンツ/BMW/アウディのSUVを買っているのはどんな人か?
メルセデス・ベンツは、多くの人にさまざまなイメージを持たれているようで、「ステータス性の高い」「伝統的」「信頼」「存在感」「安定」「信念のある」の6項目において、BMWとアウディを上回っている。 メルセデス・ベンツは、世間の多くが抱くイメージであるステータス性に加え、一朝一夕では培うことのできないブランド力が生み出す、伝統・信頼・安定といった点においても強いイメージを獲得できているということだ。ラグジュアリーブランドとして、お手本となるような結果である。
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディからなる“ジャーマン3”のSUV購入者データを分析した結果、比較したメーカーやブランドイメージの結果から、メルセデス・ベンツの強さがよくわかった。 一方で、「購入時の関与度合い」や「多少無理をしても気に入ったクルマを選ぶ」の結果からは、アウディユーザーには「好きなものを貫き選択する人」が多いことが見て取れた。 またBMWは、「動力性能」「エンジンタイプ」「燃費の良さ」といった評価点から、走りに対する満足度が高く、各社に抱かれている「なんとなくのイメージ」が明確化されたといえるだろう。
冒頭で見た「年代構成」では、メルセデス・ベンツの4人に1人が20~30代で、BMW、アウディよりも高い割合であったが、イメージの結果を確認すると「若々しい」はわずか3%弱と極端に低く、アウディ、BMW(ともに11%)を大きく下回った点がおもしろい。 ちなみにアウディとBMWの11%という割合も、他メーカーや車種の分析結果と比較すると、決して高い水準でないことは補足しておく。 ■「ユーザーの若返り」という課題の中で
メルセデス・ベンツは、ニューモデルの積極投入やカフェの展開などでよく知られるように、新規顧客獲得に向けた戦略を重視している。 SUVでもっとも廉価な「GLA 180」でも599万円という新車価格を考慮すると、多くの若年層に選ばれているといえるが、ブランドイメージの面では若返りを図りきれていないようだ。 ユーザーの若返り、若年顧客の取り込みは高級輸入車ブランドだけではなく、少子高齢化が進む日本市場においてはすべてのメーカーにとっての課題であり、競争が苛烈になることは必至である。
今回取り上げたジャーマン3がどのような回答を用意するのか、楽しみなところだ。きっとそれは、自動車だけでなく、さまざまな分野においても学びとなる事例となるだろう。
三浦 太郎 :インテージ シニア・リサーチャー