DeNA26年ぶり日本一の輪に加われず プロ1年目を終えたドラ1・度会隆輝の現在地
DeNA・度会隆輝外野手(22)のプロ1年目が終わった。豊かな打撃センスとあふれるスター性。開幕戦でプロ初本塁打を放つなど、ドラフト1位ルーキーが話題を独占した時期もあったが、チームが26年ぶりの日本一を飾った歓喜の輪に加わることはできなかった。プロ2年目の来季に向けた度会の現在地とは-。 11月3日。26年ぶりの日本一に沸く瞬間を度会はひとり、ライブ配信の映像を通じて目の当たりにしていた。 日本シリーズの出場資格40人枠に名は連ねたが、ベンチ入りメンバーとして呼ばれることはなかった。複雑な思いで見つめた歓喜の輪。ドラ1ルーキーは「最後まで戦えなかったことは悔しかったです」と率直な胸の内を口にした。 思えば、今シーズンは度会の劇的なプロ初本塁打で幕を開けた。開幕戦の広島戦で1番打者としてスタメンを張り、プロ初本塁打。華々しくデビューを飾ると続く2戦目でもアーチを連発し、これ以上ないスタートを切った。 しかし、プロの世界はそう甘くはなかった。外に逃げる変化球にてこずり、弱点を突かれ始めると勢いは失速。2軍降格を経て6月に再昇格した際には、弱点を克服し好調な時期が続いたが、1軍レベルの投手やスコアラーの手でさらなるウイークポイントを洗い出され、レギュラー奪取はならなかった。9月下旬に3度目の1軍昇格を果たしたものの、梶原らの台頭もあり、存在感を示すことはできなかった、 今季について度会は「100点満点でいったら、30点くらいですかね」と自己採点した。「継続して力を発揮できていた時は良かった。でも、課題もたくさん見えた。足りない部分を伸ばしていかないとダメ。足りない部分?もう全てにおいてです」。苦戦を肌で味わった。 プロ1年目の今季、75試合に出場し、打率・255、3本塁打、24打点。大村巌野手コーチ(55)は「1年目でこの数字は上出来だと思う」と、まずは一定の評価を与えた。筒香の若手時代の恩師でもあり、日本ハム時代の糸井や中田を育てたことで知られる名伯楽が「打球コンタクトのテクニックは素晴らしいものを持っている」と語るなど、打撃センスは誰が見ても一級品だ。 なおかつ同コーチは「客観的な自己分析ができているのも長所」と話す。度会に自身の成績を尋ねると、あらゆる項目において末尾まで全て記憶しており、スラスラとその数字を答えられるのだといい、それは自らと向き合っている証拠でもある。 しかし、「相手があるスポーツだから、ピッチャーがそれを上回ってきたら、こちらも相手投手の研究をしないといけない。そして技術が上向くように練習する。プロとはその永遠の繰り返し。資料でも映像でも相手を研究して、引き出しを増やしていくこと」と、取り組むべき課題についてはっきりと口にした。また、「準備を早めて練習に入ること」と、マイペースな性格ゆえのテーマも指摘。豊かな才能を後押しすべく、愛ゆえの厳しい“親心”を見せた。 梶原、桑原に佐野、筒香と若手からベテランまで外野の層は厚い。度会の勝負の2年目は、もう始まっている。(デイリースポーツ・福岡香奈)