安藤サクラ「愛情があれば素敵な現場です」 ── 映画「百円の恋」名古屋で舞台あいさつ
2014年の映画界を大いに盛り上げた女優、安藤サクラが11日、名古屋駅の映画館シネマスコーレ(名古屋市中村区)で、主演作「百円の恋」の舞台挨拶を行った。安藤サクラは2014年に公開された主演作「百円の恋」と「0.5ミリ」の2作品に対して、「2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テン」主演女優賞を受賞したばかりだ。
武監督「安藤サクラとここにいられることが素晴らしい」
監督の武正晴とともに登場した安藤サクラは、主に観客からの質問に答える形で約30分にわたってトークを行なった。芝居をするうえで大切にしていることとして、「映画はチームで作るものなので、その空間が大切。周りとのコミュニケーションを大切にしている。と言っても、仲良しならいいというわけでははく、厳しくてもみんなが同じものを見ていて、そこに愛情があれば素敵な現場です」とコメント。終始明るくリラックスしたムードで、観客との時間を楽しんだ。 武監督は安藤サクラについて「2014年は、彼女と時間を共有できたことで僕も成長し、いろんなことを教えてもらった。本当にこの人がいてくれてよかった。主演女優賞受賞は、この映画を見てもらえば納得してもらえるはず」と絶賛。作品については「初めてシナリオを読んだとき、これを映画にして観客として見てみたいと思った。そこから何とかしたいと思い4年かかった」と、脚本の素晴らしさについてもふれた。 同作品の脚本は、故・松田優作氏の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく2012年に新設された「第1回松田優作賞」を受賞している。
熱く痛いストーリーに魅了され、リピーターも
「百円の恋」は、実家にひきこもっていた32歳の女・一子(安藤サクラ)が家を出て、うまくいかない日々と闘い、傷つきながらも新しい自分を見出していくストーリー。 中年ボクサーとの恋をきっかけに、一子が始めるボクシングのシーンは大きな見どころのひとつで、練習していたジムの会長から「プロテストに受かる」と言われるまでになった安藤サクラの動きや、映画前半から後半への体型の変化は必見だ。一子の熱い闘いぶりに引き付けられる観客が多く、「もう一度見たい」とリピーターも増えている。舞台挨拶に訪れた観客も約半数がリピーターだった。 同作品の主題歌は人気ロックバンド、クリープハイプが書き下ろした「百八円の恋」。映画にしっかりと寄り添った曲が、エンディングの盛り上がりをいっそう高めてくれる。
「私は愛知県と江戸のハーフ」
安藤サクラの父親は、俳優の奥田瑛二、母はエッセイストの安藤和津。奥田瑛二は愛知県春日井市出身のため、舞台挨拶の締めくくりでは、「私は愛知県と江戸のハーフ。また来ます」と言って、会場を沸かせた。 また、武監督は愛知県出身で、シネマスコーレで映画を見たこともあるとか。約100人が詰めかけて熱気に包まれた舞台挨拶は、華やかな凱旋上映となった。 「百円の恋」は、シネマスコーレにて絶賛上映中。1月24日から2月6日はいったん休演となるが、2月7日から再開し、ロングラン上映の予定だ。 (編集プロダクションエディマート/豊野貴子)