「7浪で一橋に合格」父と先生が放った強烈な一言 一橋にこだわった理由、猛勉強した彼のその後
「大学時代の勉強や、上智大学で受けた添削で記述対策をバッチリしていたので、足切りにさえ合わなければ受かるという確信がありました。とにかく祈る日々が続きましたが、二次試験の受験票が届いた時に受かったと思いました」 こうして二次試験を受けた後に合格を確信。無事合格通知も届き、7浪で念願であった一橋大学への合格を掴み取ったのです。 ■「知力は裏切らない」ことを伝えていく 合格後は非常勤講師をしながらオフの日に一橋大学に通ったと言うささちかさん。大学生活はかつて担任に言われたようにつまらないことはまったくなく、充実していたと言います。「父親や、予備校の担任を見返したかったから頑張れた」という彼の瞳には、晴れ晴れとした笑顔が浮かんでいました。
「一橋は恵まれた環境でした。勤務する学校の教材研究で困ったら専門家がいるし、大体の要望に応えていただける環境でとても楽しかったです。よく『受験勉強は役に立たない』と聞きますが、一橋で私が学んだ限りではまったくそんなことはなかったです」 7年の浪人を通して念願の生活を手に入れた彼に、浪人をしてよかったことを聞くと「『知力は裏切らない』という成功体験を得たこと」との答えが返ってきました。 「私は人間関係で苦労しました。人間は無自覚のうちに裏切ってしまうことがあります。でも、知力は絶対に裏切りません。勉強をして得たものが今の仕事や自信につながっています」
大学受験で失敗をし続けた彼が、主体的に学び続けることで身につけた自己肯定感。それは今でも教壇で生かされています。 今まで持っていた中学社会・高校公民、中学・高校ドイツ語の教員免許に加え、一橋大学在学中にそれぞれ中学・高校の地歴、英語、数学の教員免許を取得した彼は、2校の掛け持ちをしながらさまざまな科目の勉強を教えているそうです。予備校の数学の模試の採点も頼まれるようで、大車輪の活躍をしています。
■諦めない限り人生は変えられる 「私は生徒にいつも、高校までの勉強が社会的教養の大切な土台だと言っています。例えば、外国語を学ぶことでその言葉を使う人の考え方や暮らし方を学べると教えています。そうすることで視野が広くなり、感性が豊かになります。各教科それぞれの意義や大切さがあるので、勉強をするのは大事なのです」 諦めない限り、人生は変えられる。その不屈の精神で人生を切り拓いた彼の教えはきっと、魂と共に生徒の心に届くと思いました。
濱井 正吾 :教育系ライター