松井大輔「ドリブル特化の指導で、後世に残る選手育成を」横浜FCや浦和で異色コーチング
――横浜FCと浦和レッズというふたつのJクラブで指導をするというのは、特殊なことだと思いますが? 「クラブによって、そのスタイルに染まっていくことが必要な面もあるかもしれないけれど、選手は監督や指導者によって、大きく変わるんですよ。だからこそいろんな指導者の指導を受けるほうが良いと思うんです。今、僕はチームを見るのではなく、選手個々を見ていきたいと考えています。だからクラブの垣根を超えて指導したいと思っていたところで、お話を頂き、両クラブにも了承頂いたというわけです」 ――レッズではどのような指導をされているのですか? 「主に『切り取り』という指導ですね。サイドの選手を集めて、ドリブルのトレーニングを行ったりしています。アメフトと同じで、サッカーでも、自主トレを見るコーチがいたり、プレーに特化した部分コーチというシステムが始まっています。この選手に足りないものは何で、どういうトレーニングが必要かを分析しながら、練習方法を提示する。今まではチーム全体を見るコーチが主流でしたが、僕は個人にフォーカスするコーチとしての道を切り拓いていきたい。自分の道は自分にしか歩めないので。いろんな人がやってきたことじゃなくて、自分にしかできないことをやっていきたい」 ――いわゆる個人戦術ですね。 「チームの戦術は監督が考える。でも、選手個々の能力をあげるうえで、個人戦術、個人に着目した指導者は居なかったので、自分ができるのは個人戦術だと思ったんです」 ※3回目に続く 松井大輔/Daisuke Matsui 1981年京都府生まれ。2000年、鹿児島実業高校より京都パープルサンガへ加入。2004年アテネ五輪に出場し、同年秋、フランス2部リーグ、ル・マンUCへ移籍。以降、古豪ASサンテティエンヌ、グルノーブルと渡る。2010年W杯南アフリカ大会出場。ロシア・プレミアリーグのFCトム・トムスクへ半年間のレンタル移籍後、2011年フランスリーグのデジョンに在籍。ブルガリアPFCスラヴィア・ソフィア、ポーランド1部のレヒア・グダニスクを経て、2014年ジュビロ磐田へ加入。2017年ポーランド2部のオードラ・オポーレで再度の海外挑戦。半年後の2018年横浜FCに加入。2020年冬にはベトナムリーグサイゴンFCへ。2021年9月10日、Y.S.C.C.横浜フットサルと契約し、翌1月にはJ3のY.S.C.C.横浜への加入。サッカーとフットサルの二刀流に挑戦。2024年2月現役引退を発表。横浜FCサッカースクールコーチと、浦和レッドダイヤモンズのアカデミーのロールモデルコーチを務めている。
TEXT=寺野典子