松井大輔「ドリブル特化の指導で、後世に残る選手育成を」横浜FCや浦和で異色コーチング
感覚的だったドリブルを、論理的に整理して、言語化
――横浜FCでは小学生のスクールでコーチをされていると。 「はい。週1でドリブルに特化したメニューを教えています。小学1、2年のグループと3年から6年のグループで、各グループ20名くらいを教えています。ドリブルって感覚的なものとロジックで説明できる部分があるので、その両方を伝えたいと」 ――ドリブラーは天性の感覚というイメージが強いですが、論理的に説明できる部分があるのですか。 「そうですね。身体の使い方やボールの置き方などをどうするかで、結果が変わる部分があります。相手と対峙したときにこういう角度なら、よーいドンで走り出したときに勝てるとか、こんなふうにボールを持っていけば、こういう感じで相手を抜けるというふうに、ロジックを伝え、それを頭で理解してもらう。そうすれば、あとは感覚で動けるようになるので」 ――ご自身のなかで、感覚的に動いてきたものを、論理的に組み立てて、伝えるという作業のように思いますが、そういうものは現役時代に言語化していたのでしょうか? 「38歳で指導者ライセンスの講習を受けたときに、言語化、言葉のチョイスが大事だと感じました。僕自身、感覚的な選手だったと思います。実際に『言葉で伝えるのは難しい』と思っていました。でも、それを論理的に整理し、言語化すれば、ほかの人にはない僕らしい指導ができると思ったんです。僕はプレーヤーとしては不真面目だったけれど、だからこそ、今、真剣に勉強し、真面目にやっていこうと」 ――松井さんが子どものころ、ドリブルを教えてくれる人はいましたか? 「いませんでしたね(笑)。当時はボールタッチを増やして突破するドリブル、アクロバティックなドリブルもありましたけど、今はそういうことをしているとすぐにボールを獲られてしまう。だからこそ、ボディフェイントやキックフェイントなどの細かなフェイントや相手の逆をとる動きなど、小さなことを繰り返しトレーニングして、身体に植え付けたいと思っています。年齢を重ねると個性や癖がついてしまうので、子どものころに身につけることが大事だと思っています」 ――だからこそ、子どもを教えたいと思ったのですか? 「幼少期、若年層の育成が一番大事だと考えています。今後、トップチームを指導するようになるかもしれませんが、今は子どもたちを見ていきたい。日本が強くならないと面白くないじゃないですか? そのためにも子どもの力を上げなくちゃいけない。日本サッカーのために底上げをしたいんです」