あこがれの1台、MGB【2】MGB本来の走りを求め、目指すはノーマルらしさ|エンドレスが挑む 回顧録
ブリティッシュグリーンの塗装が剥がされ、素地を出していた前回のリポート。その後、再び板金工場を訪れると、きれいなホワイトボディのMGBが取材班を迎えた。エンジンルームや室内はホワイトに統一され、外装はサフェーサーが吹かれている。仕上げとなるパールホワイト塗装を、今か今かと待ちわびる姿がそこにあった。 【画像24枚】年始のショーでのお披露目に向け、MGBのレストアに挑む! エンジンルームにあるコーションステッカーを避けるように塗装されたが、一部のステッカーは1から再生され、新品が張られる予定 【エンドレスが挑む 回顧録|MGB本来の走りを求め 目指すはノーマルらしさ】 強い日差しのなか、分解されたボディパーツがきれいに並べられていた。エンドレスがMGBの板金をお願いしている、トータルカーボディ・イチカワでは、最終のボディ塗装を残した状態まで作業が進み、ボディのサフェーサーがなめらかな表情を見せている。 大きな修正もなく、ボディラインは50年以上前のスタイリングそのまま。パテ修正の跡もあったが、表面をていねいに加工することで、だれもその存在に気づくことはない。仕上げカラーは、エンドレスのレストア車両カラーともいえるパールホワイトとなる予定。 ボディ以外のパーツは協力工場に分散して、各工程が進められている。エクステリアのアクセントともなるメッキパーツは、すでに再メッキ加工が終わり、エンドレスのファクトリーに戻ってきた。しかし、エンジン、補機類など、多くのパーツで作業は続いている。 楽しく、安心してクルマをドライブできること。それがエンドレスがレストアするクルマの基本コンセプト エンドレスがレストアするクルマの基本コンセプトは、楽しく、安心してクルマをドライブできること。これまでにも、パワーを補うためのエンジンチューンが行われたクルマもあったが、このMGBに関しては、ノーマルのドライビングフィールを生かしたいという。 エンドレス花里功会長(取材当時)にとってMGBはあこがれたクルマであり、さらに、英国車らしい、バランスの取れた走りの心地よさを感じたクルマでもある。 その走りを知っているからこそ、再び、そのステアリングを握り、本来の走りを楽しみたいという思いが強い。 キャブレターなどはオーバーホールにとどめ、足まわりにエンドレスのサスペンションを組み込みはするが、車高を大きく下げたりすることはない。 「ノーマルのままで十分に走る」と花里会長が言うように、そのポテンシャルを引き出すレストアが進行する。 年始のショーへ向けてレストア作業は佳境に 例年通り、新年を迎えてすぐのショーでこのMGBがお披露目される予定だ。残された時間は4カ月を切り、レストア作業も忙しくなってくる。もちろん、レストア車両は1台ではなく、複数台を予定しており、すでに他のクルマのレストアも準備に入っている。 エンドレスが行なっている旧車レストアの陣頭指揮を執っているのは、花里会長。2020年に社長から会長となり、本業である足まわり関連の事業を社長に任せ、自身はレストア事業に専念できる体制が整った。以前にも増して、クルマへの思いが注ぎ込まれることになった、と言ってもいいだろう。 会社としても、アドバンスガレージをオープンさせ、さらに、博物館レベルのショールーム開設の準備に入っている。開発部門ではラボが完成し、加工マシンのマシニングセンターを導入。商品開発などで、すぐに試作品ができるのは、革新的な企業エンドレスにとって、大きなアドバンテージとなる。 そのラボで試作中だというパーツを見せてくれた。現行車向けの足まわり関連パーツだ。部品点数、作業工程を減らし、軽量化と効率化を高めているという。製品として完成されたエンドレスのパーツでさえ、進化するのだ。もちろん、そんなアイデアを出すのは、花里会長であることは言うまでもない。 アイデアの多さもさることながら、新しい挑戦をし続ける姿勢がエンドレスらしさでもある。技術力だけではカバーしきれない、企業としての力強さが感じられる。だからこそ、この素晴らしいレストア車両を世に送り出し続けているのも、納得ができるというものだ。
Nosweb 編集部