元住職奮闘「自分の手で」 被災の志賀・西性寺再建へ
●築200年、愛着ある寺 柱や瓦直す決意 能登半島地震で被災した志賀町梨谷小山の真宗大谷派西性寺の再建を目指し、前住職の元尾了教(りょうきょう)さん(85)が自ら修復を進めている。築200年ほどの本堂は屋根や床が崩落し、一部の柱が折れるなどの被害が出た。業者を待っていても時間がかかるため、元尾さんは愛着ある寺を自分で直すことを決意。これまでに柱の入れ替えなどを終え、今後は瓦のふき替えや床の張り替えを行う。 志賀町で震度7を観測した昨年1月の地震では、本堂のほか、鐘撞き堂が倒壊した。寺近くの元尾さんの自宅も半壊判定を受けた。 昔から大工仕事が得意な元尾さんはこれまで、友人の大工の協力を得て寺の近くに木造平屋建ての「美術館」を建てた。2023年には自分で裏山を切り崩し、納骨堂を作った。 納骨堂の次は、業者の力を借りて敷地に茶室を建設しようと考えていたところ、地震が寺を襲った。本堂に甚大な被害が出たが、復旧工事の業者を確保できないことや、被災した門徒もいたことから、「少しでも資金を抑えながら、自分の手で直す」と決めた。 茶室用に残していた資金を新しい柱などの材料費に充てた。現在は、はしごで屋根に上って瓦ぶきをする作業や、ジャッキを使って傾いた床を水平にする作業に取り組んでいる。 ●「いくつになっても」 昨年5月ごろから始めた修復の進ちょくは「30%くらい」だそうで、年内の修復完了を目指し、安全に配慮しながら進める。元尾さんは「少しずつでも修復を進めていく。やる気があれば、いくつになってもできることを証明したい」と力を込めた。