ほとんどの日本人が知らずに過ごしている衝撃の事実…老後の生活を左右する「たったひとつのポイント」
「疑う力」を養うには
たとえば、あなたが何かの薬を一〇年、二〇年と毎日一錠ずつ飲み続け、それでまずまずの健康を維持して普通に生活しているとします。それを聞きつけた人が、「この薬は二錠飲むほうがいい。権威のある学者や専門家もそう言っているし、有名人の○○もそれで元気にしているよ」と言う。あなたは「自分も二錠飲むほうがいいのではないか?」と不安になり、「偉いさんの言うことだから大丈夫だ」と、その人の意見を取り入れてしまうかもしれません。 しかし、人間の身体や生活環境は人それぞれで違います。長年続けていて不都合を感じないのは、それが自分の身体や生活環境に合っているからです。有名人が別のことをして健康を維持しているとしても、それはその人の身体や生活環境に合っているだけの話で、万人に合うかどうかはわかりません。むしろ有害になるかもしれない。人に言われたからといって、むやみに自分の習慣を変える必要はないと思います。 日本人は権威に弱いところがありますが、学者や専門家といってもピンからキリまでいます。AIがこう言った、SNSにこう出ている、だからこれは正しいのだ、というのは理屈にもなりません。AIが答える内容には間違いもあります。SNSに出ていることなど月日が経てば、誰がどんなことを言ったのか全部忘れているでしょう。 若い人の場合、そういうことをあまり考えずに、「偉い人が言ったから」「AIの言うことだから」と信用してしまうかもしれませんが、中高年の皆さんなら知識の蓄積も経験値もあるのですから、自分自身で考え、納得のいく判断ができるはずです。 ものごとを冷静に見つめ、論理的に考えて判断する力は、定年後の生き方や仕事のしかたを決めるうえでも必要です。人生終盤の大きな課題に、よりよい答えを導くには、自分の頭でとことん考えるしかありません。 そういう意味でも、「疑う」という姿勢は大事だと思います。既成事実とされていることや、皆が「そういうものだ」と信じ込んでいるものほど、疑ってかかるべきかもしれませんね。 できることなら自分が納得できるまで充分調べて確認したいものです。それによって考える力は磨かれていくかもしれません。そこに、学ぶ醍醐味と意義もあるのです。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽宇一郎