ヒュルケンベルグ、ペレスの猛攻抑えての6位入賞に「こんなの想像してなかった!」ハースの一貫した戦闘力に自信
F1オーストリアGP決勝はトップを争ったレッドブルのマックス・フェルスタッペンとマクラーレンのランド・ノリスが激突し、メルセデスのジョージ・ラッセルが“漁夫の利”優勝という劇的な幕切れとなったが、その後方でも激しい鍔迫り合いが繰り広げられていた。 【動画】フェルスタッペンとノリス、優勝争った2台がまさかの接触|F1オーストリアGP決勝 ハースのニコ・ヒュルケンベルグはレース終盤、10周近くにわたりレッドブルのセルジオ・ペレスを抑え込んで6位入賞。ポジションを守りきれたことは“予想外”だったとして、ビッグポイント獲得を喜んだ。 ハースとしては、このレースでケビン・マグヌッセンも8位入賞。ヒュルケンベルグの6位と合わせて一挙12ポイントを稼いだ。 「8ポイント。合計12ポイントだ。とても、とても良かったしハッピーだ。予想外だよ」 レース後、ヒュルケンベルグはそう語った。 オーストリアGP決勝では序盤にフェラーリのシャルル・ルクレールがアクシデントで後方に下がり、レース終盤にトップを争う2台が接触してノリスがリタイアを選んだため、ハース勢は労することなくふたつポジションを上げることができた。 またハース勢はアンダーカット狙いのピット戦略が当たり、レース終盤、チームはペレスの前に2台送り出すことができた。マグヌッセンは先行を許したものの、ヒュルケンベルグは使い古したハードタイヤで、ユーズドのミディアムタイヤを履くペレスの猛攻を凌ぎ切った。 「もちろん、上位2台がリタイアしたことは助けにはなったけど、そういった場合にチャンスを掴むためには、そのポジションにいなきゃいけないし、今回は2台ともそこにいた」とヒュルケンベルグは続けた。 「とても激しいレースで、特に最後のチェコ(ペレス)とのバトルはすごかった。彼をあれだけ長い間抑え込めるなんて想像してなかったけど、『どうなるか見てみよう。彼のタイヤを少し削れるかも』と自分に言い聞かせた。そして実際にそうなった。僕らは直線スピードが良かったから、なんとか前でこらえることができたんだ」 「最後は本当にタイトで、前に残ろうと必死のサバイバルだった。危うい瞬間もあったけど、ハードかつフェアな良いレースだった」 なお、ペレスはピットレーンでの速度超過によって5秒のタイムペナルティを受けた他、1周目の混乱の中でサイドポンツーンが破損するという手負いの状態だった。 ペレスに流れがなかったといえ、ヒュルケンベルグが対峙したのは王者レッドブル。真っ向勝負を制した感想を尋ねられ、「僕はただ攻めて走る。自分の仕事をして、マシンを限界まで走らせるだけだ」と答え、次のように続けた。 「昨日のスプリントで、下位5チームの中団争いを展開したケビンを見て分かったと思うけど、今週末の僕らにはかなりの競争力があった。今日もそれを活かそうとした」 「上位からスタートするために予選を上手くやって、クリーンエアーとトラックポジションを得ることが重要だ。そうすることで、戦略を柔軟に変更したり、タイヤに気を配ったりすることができる」 ハースは今回の12ポイント獲得で、コンストラクターズランキング6番手につけるRBとの差を10ポイント縮めた。2チームは中団グループの最上位を争い、ランキング5番手アストンマーティンを追いかけている。 オーストリアGPでの結果を受けて、ハースがライバルについていけるという証明になったと思うか? との質問に対してヒュルケンベルグはチームの一貫したパフォーマンスに確かな自信をのぞかせた。 「そう思う。それに、今日に限った話じゃない。でも最初の10レースを振り返ってみると、見ての通り僕らは11位が5回あって、とても接近していた」とヒュルケンベルグは言う。 「僕らはほぼどこでも、トップ10前後で戦ってきた。ある時は僕、ある時はケビンとね」 「間違いなく、僕らが冬の間にやってきたことが良い仕事だったという証だと思うし、僕らが中団争いで競争力があるということを示している」
滑川 寛,Oleg Karpov