【自動車ブランド議論】なぜクルマ好きは性能ではなく物語(ブランド)を買うのか?日本人がブランドを育てられない理由は?
自動車業界の未来は? 電動化で訪れるブランドの変革
田中 ところで話は変わりますが、自動車は電動化に向かっているじゃないですか。電動化時代になるとブランドってどうなっちゃうんだろうと。その辺関心があるのですが、山崎さんはどう思っていますか? 山崎 BEVだと商品上の差別化が難しくなるので、ブランドの重要性がより高まると思います。時計とかもそうですよね。ロレックスなんて精度が高いとかいうけど安物のクオーツ時計の方がはるかに正確なわけで。でもブランド力のあるブランドは高く売れるわけです。要は幻想を売れるかどうかなんですよ。車もどんどんそうなっていくと思います。 田中 技術的な差別化が難しくなると、高い金額で買ってくださいって説得するのがどんどん難しくなるわけですね、なるほど。話は変わりますが、ブランドってストーリーが忘却されるくらいになると強い、という話があります。たとえばマクドナルドやスターバックスってそのブランドの由来とか知っている人ほとんどいないでしょう? もうブランド力だけが人々の頭の中でコロコロ転がっていくみたいな。そういうことって車でもありますか? 山崎 メルセデス・ベンツはまさにそうですね。一時、品質問題や安全性の問題を起こしましたけど、ブランド力は強いままだったし、売り上げも落ちなかった。でもちゃんとした歴史を知っている人なんてごく一部です。 田中 私は山崎さんにひとつリクエストがあります。今回の本はコンパクトにまとまっていて読みやすいのですが、日本車のブランドの歴史をもっと突っ込んで書いてもらいたいです。私もブランドの歴史を私の本の中で書いているのですが、車についてはあまり分析できていないんです。 山崎 それは面白いかもしれませんね。でも、今回32のブランドについて書いたのですけど、実はもっと書きたい、調べたいブランドもたくさんあるんです。 田中 そういうのも含めて是非また書いてください。 山崎 ありがとうございます。ご期待に応えられるよう頑張ります。 書籍『なぜクルマ好きは性能ではなく物語(ブランド)を買うのか』は絶賛発売中だ。