トランプ次期大統領の顔に「huge(巨大)」と書かれた作品に撤去要請。作家は「検閲」と反論
12月3日から8日までフロリダ州のマイアミ・ビーチで開催中のアートフェア、スコープ・アートショーで初日が始まってまもなく、地元のギャラリーL. Kotler Fine Artが出品した作品が撤去させられたとアートネットが伝えた。 【写真】アート検閲の対象となった関係者に取材 作品は、ドイツ、ニューヨーク、マイアミを拠点に活動するShygloの《Huge》(2019)。著名人の肖像画をモノクロで描き、その目元にネオン管で象った言葉を添えるという代表的なシリーズの1つで、「Huge(巨大)」という言葉が載せられた次期大統領ドナルド・トランプの肖像画だ。 L. Kotler Fine Artのオーナー、リンゼイ・コトラーによると、12月2日のプレビューで、フェアの主催者は12時間以内に《Huge》を撤去するよう求めてきたという。だが適切な作品保管用の木箱をすぐに用意できなかったため断り、翌日撤去することとなった。 撤去の理由について、主催者は最初は何も告げなかったが、後に作品が「挑発的」であると言ったという。この件についてコトラーは、検閲として捉えていると話す。そして「作品は不快なものではありません。むしろ美しいアート作品です。Shygloはこれまで、マイケル・ジョーダン、プリンス、バラク・オバマなど、さまざまなアイコンを題材にしています。共和党やトランプを批判しているわけではありません。アート作品らしく、会話のきっかけとなることを意図しています」と主張した。 作品撤去は12月3日に大勢の観客の前で行われ、すぐにその様子の動画がインスタグラムで拡散された。その翌日、フェア主催者はメールで声明を発表し、「スコープ・アートショーは23年の歴史の中で表現の自由を揺るぎないものとして守り続けており、政治的または個人的な見解に基づいてギャラリーに作品の撤去を求めたことは一度もありません。L. Kotler Fine Artへの要請は、当初の展示提案には含まれていなかった作品を出品し、撤去を求めた少なくとも40のギャラリーのうちの1つです」と説明。そして「ギャラリーの主張は根も葉もないものであり、センセーショナルにしようとしている」と付け加えた。 コトラーは、売名行為であるとの疑惑を否定し、「私のブースに展示されている作品のほとんどは、当初のキュレーションには含まれておらず、撤去を即座に求められたのはこの作品だけでした」と反論した。 その後、L. Kotler Fine ArtはShygloの《Huge》(2019)をインターネットオークションで販売した。スタート価格は8500ドル(約127万5000円)だったが入札が相次ぎ、5日朝の時点で2万ドル(約300万)にまで高騰。現在は「Sold」となっているが、最終落札価格は不明だ。