SNSが生み出す「空気」と向き合うには? 近現代史研究者・辻田真佐憲が語る「65点」のすすめ
空気と向き合うための「65点」のすすめ
ーーSNSでは過去のログが残るので、しばしば過去の自分と矛盾することがあります。それをのちに指摘される可能性もありますよね。 辻田さん: だから、私は「65点」とよく言っています。人間に100点満点を求めると、1点でも間違っていたら人格否定されてしまう可能性がある。そうなると人は何も言えなくなりますよね。それは非常に危険なこと。人はいろんなことを言っていいし、矛盾もしてもいいと思うんです。だからこそ、全体通して大体65点くらいを取ることを目指すべきなんじゃないでしょうか。 例えば何か不祥事を起こしても、謝罪したりしたら一定の段階で許しましょうよ、と。何かの問題を考えるにしても、「大体これくらいで十分だ」という度量を社会の構成員であるわれわれ自身が持っておくことです。そうすれば、揚げ足を取って相手をつぶしたりするゲームにはならないのかなと思いますね。 --- 辻田真佐憲 1984年、大阪府生まれ。大学卒業後、政治と文化芸術をテーマに、執筆、評論、インタビューなどを幅広く手がけている。著書に『日本の軍歌』『大本営発表~改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』(幻冬舎新書)などがあり、在野の研究者として活躍。2021年6月に、SNS、コロナ、五輪など「空気」の圧力が覆う現代日本を読み解く『超空気支配社会』(文春新書)を発売。 文・大井あゆみ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)