セクシー女優・紗倉まなさん「エイズ」デマに法的措置か 憶測による「他人の“病気”認定」は名誉毀損に当たる?
デマが業務妨害にあたる可能性も
なお、紗倉さんはエイズの罹患(りかん)をきっぱりと否定しているが、早矢仕弁護士は「たとえ罹患が真実だったとしても、名誉毀損に該当することは変わりません」と話す。 「ただし、①名誉毀損行為が公共の利害に関する事実に係り(公共性)、②その目的がもっぱら公益を図ることにあり(公益性)、③摘示した事実が真実であるか、または、真実と信じるについて相当の理由がある(真実性または相当性)場合には違法性がないと判断されるため、違法性判断の際には真実性が重要視されます」 また、早矢仕弁護士は今回のケースでは、紗倉さんへの出演依頼などが減少するおそれもあると指摘。 「業務妨害罪にあたる可能性もあるでしょう」(早矢仕弁護士)
紗倉さんに対するデマ「悪影響を見越して流されたものである可能性が高い」
一方、今回の騒動に対しては、「エイズ患者だからといって人格や人権は否定されないし、名誉毀損には当たらないのでは?」といった意見もある。 このような意見に対し、早矢仕弁護士は、「ポイントはエイズという表現のすべてが名誉毀損にあたると判断されるわけではなく、発言の位置づけや表現の方法・態様、前後の文脈などで判断されることだと思います」と整理する。 「今回問題視されている噂は、紗倉さんの社会的位置づけや発言のタイミングなどから総合的に判断すると、紗倉さんの活動に対する悪影響を見越して流されたものである可能性が高いことは一般的な読者も認識しうるので、名誉毀損であるという判断がなされてもおかしくないと思います」(早矢仕弁護士)
インターネット「自身が発信したことによる責任を認識しづらい」
誰でも簡単に情報を発信・拡散できるインターネット。早矢仕弁護士は、インターネット上でひとたび名誉毀損行為が起こると、投稿内容が拡散されるため“損害の拡大”は容易である一方、名誉を毀損された側は発信者の特定から行わなければならず多大な労力を要すると指摘。 「労力を要するため、名誉毀損行為に対して法的な措置を取らないという選択をする方も多く、名誉毀損の発信者が、自身が発信したことによる責任を認識しづらいという現状があると思います」(早矢仕弁護士) しかし、発信者を特定して損害賠償請求を提起し、請求が認められたケースもあるとして、早矢仕弁護士はインターネットユーザーに対し「情報発信する際には、十分に表現内容に気を付けていただきたいと思います」と呼び掛けた。 紗倉さんは22日、X上で退院を発表。愛犬とのうれしい再会も報告した。 法的措置について続報はないが、紗倉さん側がすでに発信者情報開示請求に取り掛かっていることも考えられる。どのような意図であれ、誤った情報発信は多方面に影響を及ぼし拡散されていく。デマを流した人はその責任の重みを噛みしめるべきだろう。
弁護士JP編集部