「なぜ座ったら駄目?」立ったままレジ打ちは世界の非常識、流通業界を変えた2万筆の署名
▽顧客からの印象悪化防ぎたい雇用主 パート・アルバイトの接客中の立ち仕事を巡り、求人情報サイトを運営するマイナビが接客業務をするパートやアルバイトの男女300人と雇用主300人を対象にインターネットで調査した。すると、常時座って接客することが許されているアルバイトは23・3%にとどまった。一方で、73・3%の雇用主は「接客中にいすに座ってもいい」と思っていることも分かった。 しかし、雇用主が接客中にいすに座ることを許可していない理由を見ると、「お客さんからの印象の悪化を防ぐため」が33・8%で最多だった。「なんとなく・特に理由はない」も25・6%あった。 ▽座ったままで接客「社会を変える火種に」 マイナビは雇用主の意識調査を踏まえ、顧客からの見え方に配慮した新型のいす「マイナビバイトチェア」を、三重県鈴鹿市の家具メーカー、SANKEIと共同開発した。パイプいすに小さな座面のみを設置し、少し腰を下ろすのに適した仕様になっている。座っていても背筋が伸びているように見えるのが特徴だ。人手不足の解消や離職防止につながることも期待されている。
このバイトチェアはドンキで使われているほか、導入企業はダイエーやアオキスーパー(名古屋市)、大垣書店(京都市)、杏林堂薬局(浜松市)、宅配ピザを展開するポケットフーズ(福岡市)など約120社に拡大している。 バイトチェアの開発に携わったマイナビの担当者は「世の中の価値観を変えるのは難しいが、この取り組みが社会を変える火種になって、多くの人が仕事を楽しめるようになってくれればうれしい」と話している。